第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大活躍した大谷翔平(28)。ここでは、そんな大谷が見ている別次元の野球像に迫った『ルポ 大谷翔平 日本メディアが知らない「リアル二刀流」の真実』(朝日新書)より一部を抜粋。他の日本人メジャーリーガーを比較して見えた、大谷の“凄さ”を紹介する。(全5回の4回目/5回目に続く)

大谷翔平 ©文藝春秋

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日本人選手との比較

 大谷の成績は他の日本人メジャーリーガーと比べると、どうなのか。

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 まず打撃から見てみよう。プレーする時代が異なる選手を比べるので、ルースの時と同じように、wRC+を用いる。Baseball Referenceによると、メジャーで1000打席以上を記録している日本出身選手(日本国籍でない人も含む)は11人で、通算での順位は以下の通りになる(表3-12)。

『ルポ 大谷翔平』より

 プレーした年数や年齢の違いもあるが、大谷は群を抜いている。規定打席に達した最も良かった年のwRC+を比べても、大谷の152(2021年)は、松井秀喜の140(2004年)、イチローの131(2004年)、青木宣親の112(2012年)、福留孝介の110(2009年)を上回る。ちなみに規定打席に達しなかった2018年の大谷のwRC+は149だった。

松井秀喜やイチローとの差を生んだ大谷の「パワー」

 2021年の大谷のwRC+は、メジャー全体で5位。松井秀喜が自身メジャー最多となる31本塁打を記録し、イチローが262安打でメジャー記録を塗り替えた2004年でも、それぞれ20位と30位だった。

 この差を生んでいるのは、なんと言っても大谷のパワーである。通算長打率・537は、メジャー史上で今のところ41位。40 位は、通算630本塁打のケン・グリフィー・ジュニアで、42位は通算586本塁打のフランク・ロビンソンと、殿堂入りした史上屈指の強打者2人に囲まれている。

 大谷の打撃力は、イチローや松井秀喜を含めて、これまでの日本人選手とは比較にならないレベルなのだ。