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「オオタニは化け物です」アジア人への差別・偏見が残るアメリカ…それでも大谷翔平がアメリカ人に“受け入れられる理由”

『ルポ 大谷翔平』より #5

2023/04/12
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大活躍した大谷翔平(28)。ここでは、そんな大谷が見ている別次元の野球像に迫った『ルポ 大谷翔平 日本メディアが知らない「リアル二刀流」の真実』(朝日新書)より一部を抜粋。大谷に熱狂するアメリカ人の反応を紹介する。(全5回の5回目/4回目から続く)

大谷翔平 ©文藝春秋

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野球少年の母が語る大谷

 エンゼルス本拠地から車で1時間くらいの砂漠の町アップルバレーに住むウォーカー・ムーアくん(14)は、熱心な野球少年が集まるクラブチームに所属している。メジャーリーグでプレーするのを目標に、チーム練習がない日も、投球と打撃の個人レッスンを受けるか、裏庭に作ったケージで父親と欠かさずトレーニングに励んでいる。

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 そんなウォーカーくんが憧れの野球選手として挙げるのが、ドジャーズのムーキー・ベッツとトレイ・ターナー、エンゼルスのトラウト、そして大谷だ。

「大谷はとにかく化け物です。ベーブ・ルース以外に、あんなにバッティングもピッチングもできる選手はいません。練習や試合に対する意識の高さは素晴らしいです」

 それでいて、常に楽しそうにしているのも魅力的だと言う。

「大谷がイチローと(フィールドで)会った時に、挨拶をしに行っていた姿が印象に残っています。とても楽しそうに話をしていました」

「翔平はとても謙虚で野球を愛しているのが伝わってくる」

 クラブチームの仲間とも大谷について話すという。

「大谷のセンター方向への打ち方とか、打つ時の後ろ足の使い方とかについてです。僕はツーストライクと追い込まれた時、大谷の(前足を上げずに打つ)真似をしています。振り遅れないで素早くスイングするためです」

 ウォーカーくん以上に、大谷に魅了されているのが、母ジェニー・ムーアさん(46)だ。ニュースで大谷が取り上げられるたびに、自身のフェイスブックのタイムラインにシェアしている。自身も本格的にソフトボールをやっていたムーアさんは、大谷はウォーカーくんにとって理想のロールモデルだと熱く語る。

「翔平はとても謙虚で野球を愛しているのが伝わってきます」とムーアさん。「野球に人生を捧げ、徹底的なトレーニングを積んでいるので、難なくプレーしているように見えます」

 何より「立ち振る舞いが素晴らしい」と言う。