日本の文化から他者への敬意が生まれているのでは
「野球を見るのは好きですが、スター選手のうぬぼれた態度は見ていられません。選手としての価値を下げます。その点、翔平は見ていて清々しいです。……試合前のウォームアップに、通訳やトレーナーなんかと出てくると、とても気さくな感じに見えます。インタビューに答える時も、いつも笑顔です。常に楽しんでいるように見えます」
「自分のいる立場や環境を受け入れ、それを楽しみ、感謝の気持ちを忘れない。大金を手に入れてうぬぼれて、ありがたみを忘れてしまう選手もいますから。判定が気に食わないからといって、審判に失礼な態度をとるなんて許されません」
「翔平は特大ホームランも打ちますが、三振することもあります。でも、かんしゃくを起こしたり、バットを叩きつけたり、審判をにらみつけたりはしません。とてもありがたいことです。ウォーカーに教えようとしていることですから」
「三振することもあれば、エラーすることもあれば、間違った判定をされることもあります。でも気持ちを切り替えなければ、次のプレーに影響してしまいます。翔平は冷静に受け止め、対処しているように見えます。もしかすると、冷静でいられるよう教えられてきたのかもしれない。日本の文化は、この国の文化とは違うはずですから。なので、そこから他者への敬意が生まれているのでしょう」
前例を作った大谷の二刀流
ウォーカーくんにも、良い選手になる以上に、感謝の気持ちを忘れないでほしいと話す。
「周りの様々なサポートの上に成り立っているからです。もちろん本人の努力もありますが、当たり前だと思ってはいけない。コーチやチームメイト、対戦相手、審判に敬意を持って接するべきです。そうでなければ、プレーする資格はありません」
エンゼルスの大ファンだというムーアさんは、大谷を初めて見た時から、特別な選手だと感じたと言う。トラウトにも、ここまでの思い入れを感じたことはないそうだ。
「ウォーカーの言うように、翔平は『怪物』です。一般的な日本人男性の体格ではありません。背が高くて、手足が長く、とにかく大きな選手です。物腰や態度を見ても、文句のつけようがなく輝いています。トラウトは素晴らしい選手ですが、翔平のように動向を追いたいと思ったことはありません」
大谷の二刀流での活躍も、いくつものポジションをこなす息子の姿と重なる。
「ウォーカーはあらゆる役割をこなせます。ピッチャー、キャッチャー、外野、内野など、置かれたポジションで常に全力を尽くします。『このポジションは嫌だ』と言う子供もいますが、なんでもやってみるべきです」