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花粉症や鼻炎持ちも、虫歯になりやすい

 そして先に述べた脱灰から歯を守ってくれるものがある。それは「唾液」だ。唾液に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンは、脱灰された歯の表層を元の健康な状態に戻す「再石灰化」を促進してくれる。このため唾液の分泌量が少ない人やお口の中が乾燥しがちな人は虫歯になりやすい傾向にある。

 お口の中が乾燥する原因としては、降圧剤や抗うつ剤などの副作用、糖尿病、シェーグレン症候群、ストレス、口呼吸などが挙げられる。中でも口呼吸は身近な問題で、とくに今のシーズン、花粉症や鼻炎などで鼻詰まりがひどい人、コロナ禍で長時間マスクをつけている人は、口呼吸になりがちなため注意が必要だ。また肥満体型の人も気道が圧迫されて口呼吸になりやすいため、虫歯のリスクが高い。

 さらに唾液には、虫歯菌が産み出す酸や、飲食物により酸性に傾いた口内を中性に戻してくれるはたらきもある。この機能を“緩衝能”というのだが、この緩衝能には実は個人差がある。緩衝能が低い人は、食後お口の中が酸性に傾いている時間が長いので、虫歯のリスクが高い。こちらは取り扱っている医院であれば簡単にテストすることができるので、興味のある方はやってみてはいかがだろうか。

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筆者の現役歯科医・遠藤あるとさん(清談社提供)

 唾液の分泌量は就寝時にも著しく低下し、寝ている間は唾液のバリアが薄れてしまう。このことから就寝前に磨き残しがないよう、しっかりと歯磨きすることがとても大事になってくる。ここで磨き残しについても触れていこう。