2000年代中盤から2010年中盤まで数多くの雑誌で表紙を飾るなどトップグラビアアイドルとして活躍した杉本有美さん(34)。
2016年にグラビアから引退し、女優の道を進もうと考えた彼女だが、待っていたのは厳しい現実だった。自分が消えていきそうだったという苦しい時期、そして「もう一度返り咲きたい」と語る現在の心境まで赤裸々に明かしてくれた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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鉄板磨きや魚介類の下処理も…アルバイトの日々
ーーグラビアを辞め、演技一本になる踏ん切りはついたんですか?
グラビアを辞めて、グラビア系の仕事がなくなっちゃったし、お芝居もそんなにやってた時期ではなかった。なので完全に自信をなくしました。それでも今しかできない経験をしようと思って、鉄板焼き店でアルバイトを始めたんです。
表に出る仕事は嫌で、仕込みのバイトをしてました。鉄板を磨いたり、掃除をしたり。魚介類を塩水で綺麗に洗って下処理をしたり、塊肉をカットしたり...。それまで芸能の仕事しかしてこなかったので、バイトの日々や会社員の旦那さんといることで、普通に戻っていく感覚がありました。
最初はそれが居心地よかったんですけど、 だんだんバイトしながら、「私、普通の人になってる」と焦りになってきちゃって。なので女優としてやろうと思って事務所も離れて、フリーになろうと思いました。
ーー女優の仕事をやるとなった時、なぜ事務所もやめたんですか。
当時のマネージャーさんはずっと一緒に働いてきた方で、環境を変えたかった。私も彼に甘えていた部分もあるし、彼も私に甘えてた部分がある。なので「お互いにすがるのはやめましょう」「それぞれで頑張る道を選びましょう」って最後は恋人同士の別れ話みたいな感じで、2人とも号泣してました。
ーーフリーになったことで仕事は好転しましたか?
いえ、窓口もなく、仕事の取り方もわからない。どんどん仕事も減っていって、杉本有美という表に出てた私が消えそうになってました。
ちょうどそんな頃に舞台の仕事の話をいただいたんです。でも完全に自分への自信をなくしていたので、かなり迷ってしまって。それでも、いろいろな人に後押しをしてもらってお話を受けることにしました。それまでの杉本有美のプライドを一回捨てて、ゼロに戻った。するとお芝居する感覚が変わりました。したくてもできない期間があったことで、お芝居ができる喜びを初めて感じて、とにかく楽しかったんです。