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「とても貴重な手段だと思いました」

 睡眠薬を用いて性交するようになったきっかけについても、分析は止まらない。

被告「2016年ごろ、付き合った女性が睡眠薬を常用していて、私も飲んだりして(性行為を)試してみる機会がありました」

弁護人「今までと違っていたんですか?」

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被告「セックス自体はそうではないんですが、心理的な、抗不安作用や、女性不信が解消されたような感じで、とても貴重な手段だと思いました」

弁護人「人との関わり方がわからないと言ったが、睡眠薬で解消されると?」

被告「はい」

 最初に事件を起こした時も「きっかけは同様で、自分も相手も……開放的な気持ちになる……」と、これまでの延長だったと述べていた。薬を飲ませることで本音を引き出したかったという意図も明かした。

 質問はAさん事件、Bさん事件と、それぞれの事件についても続いたが、丸田被告は毎回、質問の最後に、各被害者に対して必ずこう述べた。

「後悔と反省と自己嫌悪でいっぱいです、本当に申し訳ありませんでした」

 7人目の被害者のあたりから異様な早口になりながらも、この一言は欠かさなかった。

 ところが、検察官からの質問が始まると、丸田被告から自己分析や面接のような回答は消え失せた。

©iStock.com

しどろもどろになる丸田被告

検察官「親に不信感を持ったかも、と言い、交際していた女性へも不信感があったわけですよね。ですが好意の対象も、付き合うのも女性ですよね。女性不信とどうリンクするんですか?」

被告「出会った人にまた傷つけられるかもという思いがありました」

検察官「それがどうして睡眠薬を飲ませてわいせつな行為をすることにつながっていくんですか?」

被告「相手も開放的になって……」

 しどろもどろになる丸田被告。検察官の追及は止まらない。

検察官「睡眠薬飲むと普通寝ちゃうでしょ。明確に拒否されたり嫌がられたりすることがなくなるって訳でしょ?」

被告「私が服用している体験と女性が服用している体験は……」

検察官「つまり『相手も開放的になる』っていうのは、あなたの要求に比較的応じてくれそうな状態になるってことですかね? そういう状況を睡眠薬が作ってくれるんだと?」

被告「……」

検察官「もっと端的に聞くと、薬を飲んだ状態でないとき、無理だと断られることでも、薬を飲んでいれば相手の感覚が鈍くなりボディタッチなどができると、そういうことを言いたいんですか?」

被告「……」

検察官「そんな難しい質問ですか?」

被告「いや……」