〈確かに「中学生らしい身だしなみ」と校則に書いてあった。けど「中学生らしさ」なんて後出しで何とでも言えるから、指導する側の好みの問題だよ。しかも一部のこだわりが強い人。校則がこんな使われ方したら、ただの言った者勝ちでズルい〉

 元公立中学校教師のTwitterが話題を呼んでいる。アカウント名は「のぶ」。現在は30代。プロフィールには「学校のモヤモヤ代弁者」とあり、フォロワーは4万人ほど(23年4月1日現在)。本名は明かしていない。冒頭のツイートへの「いいね」数は1.9万を超えた。

のぶさんのTwitterアカウント。4月27日には著書『学校というブラック企業: 元公立中学教師の本音』(創元社)が刊行される

 現在は教職を離れているが、教育現場の問題点について情報を発信し続けている。今回、匿名を条件にZoomでの取材に応じてくれた。のぶさんには「学校を変えたい」という考えがあるようだ。

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Twitterで発信するのは「学校を変えたい」という思いがあるから

――どうして、生徒指導や校則などの学校問題に関するツイートをするようになったのでしょうか?

のぶ 東日本の公立中学校で10年ほど教師として働いていました。今は退職して、2年ほどになります。在職中は忙しいのでツイートしている時間がありませんでした。ちょうど、子どもが産まれたという時期でもありました。発信するのは、「学校を変えたい」という思いがあるからです。

――ご自身の経験がTwitterの発信とつながっているのですか?

のぶ 幸い、自分が勤めていた学校では、仲間に恵まれました。辞める前の学校では変えることができました。ただ、次の異動でどうなるのかまったくわかりません。いちいち学校ごと変えていくのも難しい。おかしな文化が残っている学校もあり、自分の子どもをそんな学校に通わせるのも嫌です。そんなとき、「発信力があったらいいな」と思いました。将来的には、学校現場に戻ることも考えています。Twitterでの発信は、現場で意見を言えるようにする練習です。

©AFLO

――学校で「変えることができた」ということですが、具体的にはどう変わったのでしょうか?

のぶ もともと荒れていることで有名な学校でした。生徒は学校のものを壊すし、教師に暴言を吐くし、教師を殴る。そんな昔のような荒れ方をする学校が今どきあるのか、という感じでした。荒れていた子が卒業をし、これから学校を立て直すという時期に赴任したのです。

 1年だけの担任なら難しいのですが、3年間、担任として持ち上がりでした。どうやったら学校のルールを変えたり、人間関係をうまく作っていったり、落ち着いた学校を作れるのか。余計なルールで押さえつけなくてもいいような集団を作れるのか、と考えて取り組みをしていました。

 学校だと「生徒指導」と呼ばれる仕組みがあります。一つは子どもたちが何か問題行動を起こしたときにする生徒指導。もう一つは特別活動と言って、学級活動で子どもたちを耕す活動です。自分は、学年で両方ともメインに担当していました。3年間ずっと同じ学年を担当していて、自分の色に染めていきました。学年があがるごとに問題が起きにくくなりました。その結果、3年生になる頃には、いじめをしないとか、ルールを守るとか、お互い自立して行動するといった文化が作られていました。