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「自戒」すべきはメディアのみにあらず
この3月には「BBCワールドニュース」でジャニー氏による性加害問題が取り上げられた。当時、週刊文春の報道を担当した記者の1人、中村竜太郎氏が登場していた。
中村氏と言えば、私は2016年暮れにトークライブで数々の取材エピソードを聞いたことがある。その一端として文春のジャニーズ報道の経緯を聞いているうちに映画の『スポットライト 世紀のスクープ』にそっくりですねと言ったら中村氏も「あの映画で描かれていることは、日本でもあるんです」と答えてくれたのを覚えている。
その『スポットライト 世紀のスクープ』はボストン・グローブ紙を決して英雄視していたわけではなかった。スクープを放つまでにはかなり時間がかかっていて、それまでは情報提供も軽視していたほどだった。そんな状況の中、その土地にしがらみのないアウトサイダーの編集局長の登場により取材チームが動き出したのである。これは現在の日本メディアと同じように感じる。遅すぎた感もあるが今からでも検証すべきではないだろうか。
今回の件を取り上げた朝日新聞の社説には「自戒」という言葉がついていたが、情報の受け手の私たちも同じだ。これはゴシップやスキャンダルや芸能ネタの類ではなく性被害問題なのである。メディアの送り手側も受け手側も「自戒を込めて」考え直さなければ。