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不審なアンテナとかはなかった

 あまりのユルさに拍子抜けしつつ、海外派出所を尋ねるために5階に向かった。一応、階段に立入禁止のチェーンが張られていたが、宿泊客である私はついついうっかりそれが目に入らず、チェーンの向こうに進んでしまった。最上階にドアがあったので、ノックしてみると……。

 事前に予想していたことだが、まったく反応はない。そもそも室内に誰もいないようである(翌日も尋ねたが同様だった)。実のところ、日本で海外派出所の存在が報じられた2022年末の時点から、この場所はメディア関係者の間で知られており、聞くところでは数社の記者がここにやってきたという。仮に海外派出所が過去に本部を置いていたとしても、いまやもぬけの殻なのだ。

 とはいえ、これだけで自分の部屋に戻るのはもったいない。最上階の半分は海外派出所の部屋だが、もう半分はバルコニーである。そこで、施錠されていないもうひとつの扉を開けてバルコニーに出た。海外派出所の部屋の曇りガラスの窓があったが、室内は電気がついておらず人がいる気配もない。

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部屋に戻ろうとしてついついうっかり方向を間違え、海外派出所の部屋(右の窓)の壁のハシゴによじ登る私。

 海外派出所の部屋の外壁にハシゴがあったのでとりあえず登ってみたが、屋上にはエアコンの室外機があるだけであり、不審なアンテナや武器の貯蔵施設などはないようだ。