自身の相続体験をもとにした経済アナリスト・森永卓郎の『相続地獄』。その中から一部抜粋し、親が残したマニアなコレクションを現金化する方法をご紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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親が趣味にツッコんだカネを、ほぼ全額取り戻す方法がある

 親が亡くなったとき、「財産凍結」の対象は預貯金や金融商品、不動産にとどまらない。絵画や骨董など、売却すれば現金化可能な物品も、有価証券と同様に資産と見なされる。

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 以下、「財産凍結」という話から少々脱線するように思えるかもしれないが、親が残したマニアックな財産を現金化する方法について、体験的ノウハウを綴りたい。

 元気な親と一緒に今から生前整理を始めるときは、何に価値があるのか第三者の目利きに算定してもらおう。古いマンガ本やレコードは、何も知らない人にとっては無価値なガラクタに見える。だが戦前や戦後直後の少年雑誌は、古書業界では1冊数十万円の高値で取引されるものさえある。

 CDが出たときにレコードの価値は二束三文になったものだが、近年アナログのレコード人気が再燃したことをきっかけに、一部のレコードはそこそこよい値段で買い取ってもらえる。親の許可を取ってそれらの売却をちょっとずつ進めれば、ガラクタに見えたものが1万円札に生まれ変わる。

©AFLO

 私はミニカーを3万台も所有する日本屈指のマニアだから、ミニカーの価値はだいたい見ればすぐわかる。素人が面倒くさがって、「このミニカーを全部引き取ってください」と言ってミニカー専門店にもっていくと、買取価格は購入価格の1割が相場だ。レア物がそこそこ混じっていたとしても、購入価格の3割で引き取ってもらえればよいほうだと思う。

 ミニカーに限らず、マニアはコレクションを充実させるために数百万円(ときには1000万円以上)の私財を投入している。親が趣味のためにつぎこんだお金を、ほぼ全額取り戻す方法がある。時間と手間はえらくかかるが、ヤフオクやメルカリで売りに出すのだ。

しかし、その際に注意したいことがある。それは…

 ヤフオクにオモチャやグッズを出品するときには、全然ピントがズレたカテゴリーに出さないよう注意してほしい。カテゴリー違いのところに出品すると、オタクや目利きの目に留まらず100円や200円で落札される可能性があるのだ。