自殺対策の「自殺総合対策大綱」には「市販薬」に関連する記述はない
ツイッターを読むと、2人は以前から希死念慮があり、市販薬の過量摂取をしていた形跡がある。希死念慮と過量摂取との関係性について、松本さんはこう述べる。
「精神作用の過量摂取による酩酊の脱抑制は、つらい気持ちを自殺念慮へと変容させ、さらに自殺念慮の行動化を促進します」
自殺対策の大枠を示す「自殺総合対策大綱」(2022年10月14日閣議決定)には、「市販薬」に関連する記述はない。「薬剤師」は「ゲートキーパー養成」で触れているだけ。昨年12月に改訂されたばかりの生徒指導の基本書「生徒指導提要」(改訂版)でも、薬物乱用については触れているが、「市販薬」についての記述はない。市販薬の依存・過量摂取と若年層の自殺との関係について、松本さんは注視している。
販売する店舗独自で販売制限をするべき
「厚生労働省には、これまでの市販薬政策や自殺対策を見直してほしいですね。昨年度末まではブロンは1人1箱までなのにパブロンは販売制限がありませんでした。ただ、この4月からはパブロンも1人1箱に制限されました。しかし、一昨年8月に市販化されたメジコンはいくら国に訴えても制限対象になっていません。
こうなったら各店舗独自で販売制限すべきです。頻回購入者に対して官民のさまざまな社会資源の情報提供をするなど、ドラッグストアチェーンにも対策を講じるようにしてほしい。さらに、若年層の自殺との関連も推測されることから、『子どもの自殺対策室』を設置した『こども家庭庁』にも対策をお願いしたい」
◆◆◆
【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)