我が子を保育園へ預け、親たちは職場へと向かう。仕事を終えると、迎えに行く。地域の安全、保育園という場に対する安心を前提にしたこの光景は、世界共通だ。
だがある日突然その前提が崩れ、保育園が一瞬で修羅場と化した。「ネオナチ」と指摘された男が保育園に侵入し、園児らを次々に切り付け斬殺したのだ。
男が保育園を襲撃し、園児4人が死亡、5人が負傷
凄惨な事件は現地時間4月5日午前、ブラジルのサンタカタリーナ州ブルメナウにある保育園「カンチーニョ・ボン・パストール」で起きた。園児たちに地獄の恐怖を与えた男の犯行を全国紙国際部記者が解説する。
「現地ニュースサイト『G1』などによると、男は午前10時ごろ、保育園の壁をよじ登ると、携えていた小型の斧で複数の園児の頭部を殴りつけ、切りつけました。犯行後、男は再び壁を飛び越え、バイクに乗って逃走しています。この犯行で園児4人が死亡、5人が負傷したと伝えられています」
死亡したのは、男の子のベルナルド・クーニャ・マチャドちゃん(5歳)、ベルナルド・パブスト・ダ・クーニャちゃん(4歳)、エンゾ・マルケシン・バルボサちゃん(4歳)、女の子のラリッサ・マイア・トルドちゃん(7歳)。
死亡した5歳のベルナルドちゃんの父親は報道陣の取材に応じ、我が子と過ごした最後の瞬間について語った。
「あの子は今朝、ウサギの真似をしながら登園しました。そして、彼の友達と私も一緒に、ウサギのように飛び跳ねたりしました。我が子と過ごした全ての瞬間は大切な思い出です」
現地メディアでは、大量の警察官と一報を聞きつけ駆けつけた園児の親たちが泣き崩れる映像が繰り返し流された。保育園で働くシモーネ・アパレシダ・カマルゴさんがテレビ局の取材に応じている。
「あの時、同僚が走って駆けつけ、『ドアを閉めろ、窓も閉めろ。強盗だぞ!』と言うのです。男は盗み目的なのだろうと、私たちは思いました。ですが念のため、子ども達をトイレに避難させました」