遺産は確実に30億円は超える。元妻が手にするのは…
全国に散らばる不動産、銀行預金に株の証券、未回収の貸金に絵画と貴金属、さらに現金として手もとに置いていた2億円(現在行方不明だが)。それに加えて、会社の資産として現金と不動産がある。
ドン・ファンの資産を、会社関係者が総括する。
「一部報道では50億円と言われていましたが、50億はないとしても30億円は確実にいくと思います。さっちゃんの法定相続分は4分の3ですから、20億円以上の遺産を手にすることになりますね」
ところがここに来て、話がそう単純に進まない事態となっている。
ドン・ファンの「遺言書」なるものが8月に裁判所に提出されたのだ。内容は、「全財産を郷里の田辺市に寄付する」というものだ。
社長の遺言書が存在するということは、6月以降、いくつかの週刊誌が報じてきた。だがそれらの記事はいずれも遺言書の描写があいまいで、記者が遺言書の現物を見ていないことが明らかだった。おそらく、「遺言書がある」という情報だけを聞いて記事にしたのだろう。何者かが、意図を持ってリークしたとしか思えない。
私はその遺言書の現物のコピーを入手し、フライデー9月21日発売号で写真として掲載した。左ページがそれだが、遺言書にはこう書かれている。
〈いごん
個人の全財産を田辺市にキフする
アンカーアプリコの清算をたのム
平成25年2月8日
野崎幸助
〇〇〇〇殿〉
他の週刊誌の記者が現物を見ていないと私が確信するのは、この遺言が、全文真っ赤な字で書かれているからだ。そんな異様な遺言書があるだろうか。他の週刊誌の記事は、文字が赤いことに一言も触れていない。現物を見ていて、そのことに触れないことはありえないだろう。
〇〇〇〇の部分は、実際にはある人物の名前が記されている。
その人物M氏は、たしかに社長とは30年来の知人で、アプリコの取締役にも名を連ねている。ちなみにアンカーというのは、ドン・ファンが経営していた貸金業の会社の名前だ。