1ページ目から読む
2/3ページ目

遺産は確実に30億円は超える。元妻が手にするのは…

 全国に散らばる不動産、銀行預金に株の証券、未回収の貸金に絵画と貴金属、さらに現金として手もとに置いていた2億円(現在行方不明だが)。それに加えて、会社の資産として現金と不動産がある。

 ドン・ファンの資産を、会社関係者が総括する。

「一部報道では50億円と言われていましたが、50億はないとしても30億円は確実にいくと思います。さっちゃんの法定相続分は4分の3ですから、20億円以上の遺産を手にすることになりますね」

ADVERTISEMENT

 ところがここに来て、話がそう単純に進まない事態となっている。

 ドン・ファンの「遺言書」なるものが8月に裁判所に提出されたのだ。内容は、「全財産を郷里の田辺市に寄付する」というものだ。

 社長の遺言書が存在するということは、6月以降、いくつかの週刊誌が報じてきた。だがそれらの記事はいずれも遺言書の描写があいまいで、記者が遺言書の現物を見ていないことが明らかだった。おそらく、「遺言書がある」という情報だけを聞いて記事にしたのだろう。何者かが、意図を持ってリークしたとしか思えない。

 私はその遺言書の現物のコピーを入手し、フライデー9月21日発売号で写真として掲載した。左ページがそれだが、遺言書にはこう書かれている。

〈いごん

  個人の全財産を田辺市にキフする

  アンカーアプリコの清算をたのム

    平成25年2月8日

       野崎幸助

   〇〇〇〇殿〉

 他の週刊誌の記者が現物を見ていないと私が確信するのは、この遺言が、全文真っ赤な字で書かれているからだ。そんな異様な遺言書があるだろうか。他の週刊誌の記事は、文字が赤いことに一言も触れていない。現物を見ていて、そのことに触れないことはありえないだろう。

 〇〇〇〇の部分は、実際にはある人物の名前が記されている。

 その人物M氏は、たしかに社長とは30年来の知人で、アプリコの取締役にも名を連ねている。ちなみにアンカーというのは、ドン・ファンが経営していた貸金業の会社の名前だ。