もし未成年の動画を買っていたら…
初恋の相手を思いながら動画を見る日々が続いたが、今年1月のある日の昼過ぎ、山口さんの不安の的中を知らせるチャイムが鳴る。その時のやり取りは冒頭の通りだ。自分が逮捕の可能性を心配する山口さんに警察はこう告げたという。
「あなたが逮捕されるということはありませんよ。そしてあなたが購入した動画は素人の流出動画ではなく、AV作品の切り取りでした」
「警察は親切にもその女優さんの名前まで教えてくれましたよ」と山口さんは苦笑する。
結局、山口さんはこの一件以降、「違法な可能性がある動画には手を出さない」と自分に誓ったという。
「僕にとって、AVはほとんど唯一の楽しみなんです。40年間勤めた運送会社でも引き止められなかったし、あとは1人キャンプくらいしかありません。誰も居ない自然の中でエロ動画を見るのが今の至福の瞬間です。そんな些細な楽しみすら奪われる可能性があったかと思うと、本当に怖くて……。『選手権』は本当にコリゴリです」
リベンジポルノの問題などにも取り組む港国際法律事務所の最所義一弁護士は、SNSなどで流出した動画を購入するリスクについてこう語る。
「まず、児童ポルノに該当する映像であれば、所持すること自体が違法ですから、当然に刑事罰の対象になります。仮に、プロの女優が出演する市販作品であったとしても、SNSでの購入が違法ダウンロードにあたることは容易に想像できますので、刑事罰の対象となる可能性が高いでしょう。
一方でリベンジポルノの場合は、そもそも公開が予定されていた映像ではないので、購入すること自体は刑事罰の対象にはなりません。しかし映っている人の年齢を確認することも難しく児童ポルノに該当する可能性もあることから、正規の販売サイト以外での動画購入は何にせよおすすめできません」
騒動を経て、SNSで動画を買うのを止めた山口さん。最近の悩みは「DVDのレンタルショップが少なくなっていること」だという。