ドラフト会議場から立ち去らなかった4監督
もうひとつ、プロ野球ファンの一年に一度の楽しみであるドラフト会議でも僕が個人的にとても楽しみにしていることがある。
「12球団の監督がいつ会議場から立ち去るか」イベントだ。
昨年秋のドラフト会議2022では新監督も多かったため例年よりワクワク感が強かった。僕の最大の興味は「育成ドラフトに入っても会議室に残る監督は誰か」である。昨年は4人いた。
オリックス・バファローズの中嶋聡監督。
千葉ロッテマリーンズの吉井理人監督。
横浜DeNAベイスターズの三浦大輔監督。
広島東洋カープの新井貴浩監督。
(もしTVカメラに映らずに会議室に残っていた監督が他にもいたらごめんなさい)
あのドラフト会議中継は全国の「プロ野球選手を夢見る若者たち」のほぼ全員が観ているはずだ。彼らは間違いなく育成ドラフトの最後まで観るだろう。育成ドラフトで獲得する選手たちにも強い興味を持って監督自ら会議室に残ってくれるチームが、彼らにとってどれだけ魅力的に映ることだろう。強いリーダーに必須の資質のひとつは「人間への強い好奇心と愛情」だと僕は信じている。
中嶋監督が茶野篤政の資質を見抜けたワケ
プロ野球で言えば監督は少しでも優秀な才能を求め二軍・育成の隅々まで目が行き届いていなければ強いチームは作れないと思うのだ。特にここ10年のプロ野球はそういう時代になったと感じている。その意味において、あの会議室に残っていた三浦、新井、吉井という3監督が率いるチームの今季の行く末にはとても興味を持っている。(もちろん、別に会議室に残らなかったらその監督が選手に興味がないという意味では全くない。GMとの役割分担もあるだろう。ただたとえパフォーマンスだったとしても会議室に残った4監督は「育成で獲得した選手たちから自分のチーム&監督がどう見られるか」を正確に認識できていたことだけは間違いない)
オリックスに関して言えば稀代の名将・中嶋監督の選手たちへの強い情熱はやはり今年も健在だ。でなければ育成4位ルーキーの茶野篤政の資質をあの短期間で正確に見抜き、即支配下登録して開幕スタメンに抜擢するなどという常識外れの決断ができるわけがない。その事実こそがあの日最後まで会議室に残った中嶋監督の慧眼を証明している。
というわけで今年も魅力的すぎる「中嶋監督とその仲間たち」から全く目が離せない毎日がこれからもまだまだ続くわけです。
ていうかオリックスファンの皆さま、試合中の中嶋監督の一挙手一投足&味わい深すぎる表情百変化(特に選手がやらかした時)ってたまらなくないですか? あんな魅力的な監督見たことないですよ? なのでオリックス球団さん、もう少し中嶋監督グッズを増やしていただくわけにはいかないですかね? 出たら全部買いますんで。でも中嶋監督は多分「俺のグッズなんか作るくらいなら二軍選手のグッズをもっと増やしてやってくれ」って言うんだろうな。
ああ、やっぱり中嶋オリックスはたまらない。
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