私はジャニーズが好きです。
これからも胸を張って応援したいし、今活躍するタレントさんたちにも堂々と輝いてほしい。だからこそ、これを好機に曇りの晴れぬこの状況を整理整頓したいのです。
まずは現在事務所を率いる人々が前に出て「心配させて済まない。本件に関してはこのように対応します」と文書でなく血肉の通った言葉で伝えてくれることが大きな意味を持つと思います。
代表が矢面に立ってすべてを引き受ける覚悟を見せてくれることは、無視を続けるより、はるかに温かな支持を得ることにつながるのではないでしょうか。
ただ1人1人のタレントさんたちについては、それぞれの思いを尊重することが大切だと考えます。
今でもジャニー氏への深い愛情や感謝を表明する人は大勢います。それをひとくくりに〝グルーミングによる洗脳だ〟とラベリングして哀れむのは、どう考えても不遜です。そこには当事者にしかわからない絆や情のやりとりも、きっとあったのではないでしょうか。被害の有無を含めて、関係性は千差万別なはずです。
私たちファンにしても、ジャニー氏ならではの発想による舞台やコンサートなど、めくるめくエンターテインメントをあまた享受してきました。
その「おもしろかった、楽しかった」という気持ちを精算する必要など、もちろんありません。ジャニー氏のプロデューサーとしての類い希なセンスに敬意も表します。でも、それはそれ。
先日、ジャニーズ事務所が自社の社員や所属タレントを対象に聞き取り調査を行ったとの報道がありました。これが取引先企業に向けた“ポーズ”でないことを祈るばかりです。
未成年への許されざる行為があったのなら糾弾されてしかるべきだし、報道機関に無言の忖度を強いる空気があるならやめるべきだし、ジャニー氏が遺したものを継いだ方には、こうしたことと真摯に向き合ってほしい。ファンが顔を上げて応援に邁進できるよう、道を拓いてほしいと願ってやみません。
そうすることでジャニーズの新たなる伝説が始まるし、ジャニーズは過去の闇にも目を逸らさない、光の集団たりえるのではないでしょうか。
「俺たちの手で“ジャニーズ”を終わらせよう」
ジャニー氏が手がけた作品の中に、ジャニーズの始まりから現在までの歩みを描いた「ジャニーズ伝説」という舞台もあります。
初代ジャニーズの4人は、ジャニー氏に導かれアイドルとしてデビューしました。彼らは人気絶頂のなかアメリカで武者修行に臨み、全米レコードデビューの夢をつかみかけますが、惜しくも頓挫。モチベーションを失ったジャニーズは迷走し、苛立ちます。
苦悩するメンバーの胸に去来するのは、“解散”の2文字。
もはや、モヤモヤした心をごまかしたまま、活動は続けられなくなっていたのです。この心境は、今の私たちにも通じます。
メンバーたちは解散という言葉の重さに慄きますが、混沌にケリをつけて前に進むべく心を決めました。彼らが選んだのは“未来のための解散”という浄化。
誰に始末を任せるでもなく、自ら終止符を打ったジャニーズの言葉が今も胸に残っています。
「俺たちが新しい道を切り拓くためにここで決着をつける。
――俺たちの手で“ジャニーズ”を終わらせよう」
潔く澄んだジャニーズの誕生を望みます。