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 北朝鮮内にはこうした「人身売買ブローカー」のネットワークがあり、生きていくのにやっとの若い女性や子どもたちが中国に売り飛ばされていた。生活も立ちゆかない中、何とか脱北しても、待っていたのは見知らぬ土地での厳しい生活だった。

陣痛誘発剤で強制出産させ、乳児はその場で殺害

 しかし、その土地で強制送還を受けると、別の苦難が待っている。中朝国境地域に近い北朝鮮地域では、収容施設から受刑者が逃走して逮捕され、公開処刑されたり、収容施設で生まれたばかりの子どもを看守が殺害した事例がある。乳児を殺された母親はいずれも、妊娠したまま中国から北朝鮮に強制送還されてきた脱北者だ。

 14年に中国から強制送還された女性は、妊娠8ヶ月の状態で拘禁され、「中国人の子供を妊娠した」という理由から陣痛誘発剤で強制的に出産させられ、生まれた赤ちゃんはその場で殺されたという。

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平壌に建てられた大型住宅 ©時事通信社

脱北者の女性を全裸にさせて股間に手を入れ…

 強制送還をうけた女性たちに対する人権侵害は、妊婦ばかりにとどまらない。

 たとえば、北朝鮮の拘禁施設では、収監者が最初に拘置される際に「検身」という身体および所持品検査が実施されている。別名「裸検査」。方法は、衣類などを検査した後、看守が肉眼で女性の膣の内部を調べたり、隠したものがあるか手で直接確認するというものだ。また、脱北後に中国などで逮捕され、北朝鮮に送還された女性には「子宮検事」と呼ばれるとりわけ厳しい検査が追加で行われるという。ある女性の証言はこうだ。

「2017年、清津市にある集結所に移送された時、集結所の部屋に入るように言われて入ると、男性2人から服を全部脱ぐように命令されました。そして裸になると、座ったり立ったりする動作を100回させた後、腕立て伏せをさせられる間、お金を隠し持っていないか、彼らに肛門と膣内に指を押し入れられました」