日本一のアイドル帝国の「ジャニーズ」を作り上げたジャニー喜多川氏について、生前のハラスメントを報じた英国のBBCのドキュメンタリーが韓国でも話題となっている。
中でも目立つのが、芸能界のドンの行為に沈黙し続けた日本社会に対する非難の記事。アイドル王国である韓国でもアイドルに対する所属事務所のパワハラなどの事件が頻繁に発生し、アイドルの人権に対する社会的な関心が高まっているからだ。
その代表的な例が、昨年11月、K-POP界を騒がせたOMEGA X(オメガエックス)に対する所属事務所代表のパワハラ事件である。
「一度失敗したメンバーたち」が奮闘するアイドルグループに何が…
「OMEGA X」とは、2021年6月にデビューした11人組のボーイズグループ。すでに一度デビュー経験があったり、音楽専門チャンネルMnetの「プロデュース101」などの有名オーディション番組に出演した経験があったりといった、事実上「一度失敗を経験した」メンバーで構成されていた。
「今回こそは」という強い意志が功を奏したのか、デビュー6ヵ月間で2枚のミニアルバムと1枚のシングルアルバムを発表するなどまさしく休まず活動し、2022年1月には「ソウル歌謡大賞」で新人賞を受賞した。
同年6月に初のフルアルバム『楽書き~Story Written in Music』が発売されると、本格的なグローバル進出にも挑戦。8月~9月の日本の2都市を皮切りに、9月~10月には南米の5都市と北米の12都市を回るワールドツアーを行った。
これは、競争が激しい韓国内で正面から勝負するよりも、海外で評価を高めた後に韓国市場を攻略するのがBTS以後のK-POP界の戦略で、OMEGA Xもやはりデビュー当初から海外活動に力を注いでいた。しかし、このワールドツアーのフィナーレを飾ったLA公演で、所属事務所代表によるパワハラ事件が発生してしまう。
「今、手が震えすぎてどうしたらいいか分からない」発端は目撃したファンの投稿
ことの発端は、SNSに掲載されたツアーを追いかけていたあるファンの投稿だった。