「今のアプリマンガは、アプリの読者に受けそうなものを作っていますが…」
今後の『ヤングアニマル』についてたずねると、永島隆行編集長は紙媒体の意義を強く訴えました。
「今のアプリマンガは、アプリの読者に受けそうなものを作っていますが、『ヤングアニマル』はあくまで紙で読んでほしいと考えています。ですが、作品を新しい読者に知ってもらうためウェブにも展開しているのです。
ウェブだけでやっていくのではなく、『ヤングアニマル』という屋台骨から良いマンガを出したい。賞を取れるようなマンガを届けたいですし、『3月のライオン』の次(のエース作品)も必要と思っています。紙(媒体)を放棄しないことは体力的に大変ですが、自分たちの考えている面白さを信じたいと思っています」
出版業界はデジタルで復調したものの、紙とデジタルのダブル展開に加え、完結したマンガの活用も進んでいます。そのため、編集者への負担が以前より増えているのです。
近年は、紙媒体の青年マンガ誌の休刊もニュースになっていますが、それも出版業界がデジタルで稼ぐビジネスモデルになったこと、編集者の負担が増えていることと無縁でありません。トレンドから考えれば、紙媒体の雑誌はますます部数を落とし、苦戦を強いられると予想されます。
そんな中でも、紙雑誌の魅力に軸足を置いて追求しつつ、デジタルも活用してマンガ家と編集者が「世に送り出したい作品」を求め続けること。創刊30年を迎えた「ヤングアニマル」は、そんな挑戦のフェーズに入っているのです。
今後は「自殺島」や「ホーリーランド」の森恒二さんの新連載「D.DIVER(D.ダイバー)」がスタートするほか、同じく森さんの作品で、太古の世界にタイムスリップした若者たちのサバイバルを描いた「創世のタイガ」が連載を再開。またベラルーシのノーベル文学賞作家・スベトラーナ・アレクシェービッチさんの書籍をマンガにした「チェルノブイリの祈り」といった意欲的な連載も予定しています。
果たして、次はどんなユニークな作品を生み出すのでしょうか。
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