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周囲からの冷ややかな対応

 そんな生活が7カ月ほど続いた。

 毎日が退屈で仕方がない。どうすればこの生活を豊かにできるかということではなく、早く出られないかなと頭を悩ませることしかできなかった。

 ずっとこの施設に入っていたので、僕は中学3年生の間ほとんど学校で過ごしていない。気付いたときには卒業式の1週間前になっていた。

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 卒業式は中学最後のイベントだ。学校には友達もいるし、僕も彼らと話したい。思い出を作るという感じではないが、中学生活にケジメをつけたいという気持ちもあった。卒業式にはどうしても出たかったので、なんとか施設を出してもらえるように施設の先生に頼みにいった。

「もう真面目にしますから」

 そう言って先生に頭を下げた。それなら卒業式だけはということで、なんとか許しをもらうことができた。それ以外は一切学校に顔を出さないという条件付きだ。僕は特攻服を着て卒業式に出た。

 だが、周囲の反応は冷ややかだった。

「翔が帰ってきた」

「また地元が荒れてしまう」

 同級生や保護者たちの怯えるような、迷惑そうな視線が痛かった。

 僕の存在は彼らの中で、近所の悪ガキという枠を超えて、逮捕されて施設送りになった悪人のように映っていたのかもしれない。

悪名』(彩図社)

「それならこっちだってとことんやってやる」

 ガキだった僕はそんな風に考え、またそこからどんどん悪さをするようになっていく。