20万人超の登録者数を誇るYouTubeチャンネル「ワルビッシュTV」の運営や、大阪府・西成での炊き出しなど、活動の幅を広げているダルビッシュ翔氏。かつて暴力事件や野球賭博での逮捕で世間を騒がせた彼は、自らの“悪名”を背負いながら、どのように自身の過去と向き合っているのだろうか。そして現在、精力的にボランティア活動などを行う理由とは――。

 ここでは、ダルビッシュ翔氏が自身の人生を赤裸々に綴った初の自伝本『悪名』(彩図社)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く) 

写真はイメージです ©iStock.com

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高校を無期停学

 中学を出て、僕も一応高校に進むことになった。お世辞にも治安が良いとは言えない、不良だらけの定時制高校だ。結論から言うと、僕はこの高校から入学わずか1週間くらいで無期停学をくらってしまうことになる。

 きっかけは、はっきりとは覚えていないほど些細なことだった。

 同級生が僕の挨拶を無視したとか、そんなつまらない理由だったと思う。僕はその同級生をボコボコにシバいた。周りにいた人間も巻き込んで、徹底的にやった。当然これが大問題になり、僕は無期限の停学を言い渡されることになったのだ。

 学校には行かなくても、外に出てヤンチャはする。僕は夜な夜な不良仲間たちと集まって、バイクで暴走行為を繰り返していた。僕らの時代にはいわゆる「暴走族」みたいなしっかりとしたチームは無くなっていたけど、まあ似たようなものだ。今で言う「半グレ」に近い存在なのだろうか。