20万人超の登録者数を誇るYouTubeチャンネル「ワルビッシュTV」の運営や、大阪府・西成での炊き出しなど、活動の幅を広げているダルビッシュ翔氏。かつて暴力事件や野球賭博での逮捕で世間を騒がせた彼は、自らの“悪名”を背負いながら、どのように自身の過去と向き合っているのだろうか。そして現在、精力的にボランティア活動などを行う理由とは――。

 ここでは、ダルビッシュ翔氏が自身の人生を赤裸々に綴った初の自伝本『悪名』(彩図社)より一部を抜粋して紹介する。(全4回の4回目/3回目から続く) 

写真はイメージです ©iStock.com

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裏社会との繋がり

 今回の野球賭博ももちろん、僕は「現役」の人と金銭のやり取りや商売は絶対にしないと決めている。あくまでも自分たちのなかで、クリーンに商売をするというのが僕の信条だ。

 ただ、僕の今までの生き方から考えて、いわゆる「反社」と呼ばれるような人との繋がりがあるのも事実だ。地元の先輩や後輩で、ヤクザになったという仲間もたくさんいる。そこに嘘はつきたくない。

 しかしその人たちとの繋がりも、あくまで個人的な人間関係としてのものだ。だからその間でお金が動くことはないし、最近は一緒に食事をするような機会もほとんどない。

 きっと「そんなのは綺麗事だ」と思う人もいるだろうが、今はそう思われても仕方ないと思うし、これからの動きで少しずつ理解をしてもらうしかないと思っている。

兄貴の反応

 野球賭博はもちろん犯罪だ。そしてそれをダルビッシュ家の人間がやってしまうことは、より大きな、重い意味を持つことになる。

 この一件については、いまだに家族の中でタブー視されている問題だ。誰もなかなか語りたがらないし、触れてはいけない雰囲気になっている。

 それもそのはずで、僕は兄貴の職業、そして夢を使って違法の賭博を行い逮捕された。偉大な野球選手を兄に持つ弟として、はっきり言って最低の侮辱行為だ。

――なにか迷惑をかけているのではないか

――自分と関わることで、選手生命が脅かされるのではないか

 そんなことを考えると、釈放されてからもなかなか兄貴には連絡できずにいた。