秋篠宮ご夫妻の訪英に反対の声も
こうした理由からだろうか。そして、小室眞子さんの結婚問題以来の秋篠宮家への逆風からなのだろうか。秋篠宮夫妻のイギリス訪問に反対する声がネットや週刊誌などで、正式発表される前から見られた。それでも今回、秋篠宮の差遣が決定された。
そうした対応が取られたのは、これまでの秋篠宮の位置づけが関係しているのではないかと思われる。徳仁天皇は昭和天皇の時代から、将来の天皇として扱われた。各国王室との交流も、まさにそうした立場で積極的に展開された。しかし、弟の秋篠宮は必ずしも同じ扱いを受けたわけではなかった。同じ皇族として生まれても、チャールズ国王の次男であるハリー王子の言葉を借りるならば、弟はあくまで「スペア」であって、秋篠宮もまさにその扱いであった。
「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇」の真意は?
しかし現在の皇室典範の規定に基づいて、徳仁天皇の次の皇位継承者は秋篠宮となり、皇嗣という立場になった。つまりもはや「スペア」ではなくなったのである。これまでのように次の皇位継承者ではないと、自由気ままでいることはできなくなったとも言える。一方、イギリスは単純な長子相続となり、ウィリアム王子の3人の子どもたちがその後の王位継承を担う立場となった。秋篠宮と同じ次男であったハリー王子は「スペア」ですらなくなったのである。そのため彼は、王室との間で軋轢が生じている。
つまり、秋篠宮が、これまでは担っていなかった皇位継承者としての各国王室との交流を行う場が、今回のチャールズ国王の戴冠式なのである。各国王室の人々が一堂に集うこの場が、皇嗣としての秋篠宮のお披露目の場となり、そして交流を図る第一歩となる。そうした場への差遣が、天皇から秋篠宮に与えられた。
江森敬治『秋篠宮』では、「皇嗣殿下としての心構えや決意を教えてください」という質問に対して、秋篠宮は「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇であり、私は兄を支える、助けることに徹するのではないでしょうか」と答えた。天皇を「支える、助ける」ために、国際的な親善の場に立つ秋篠宮。天皇を中心として、皇嗣はそれを支えつつ皇室の親善を担う存在となる。そうなるために、今回のチャールズ国王の戴冠式で秋篠宮はどう振る舞うのだろうか。