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各国からは即位した王や女王も参列

 とはいえ、今回、チャールズ国王は自らの戴冠式で、これまでの慣例を変えようとしていると報じられている。具体的には、すでに即位した王や女王の参列を求めたという点である。ヨーロッパ各国では、スペインやオランダ、スウェーデンなどの国王が戴冠式に参列すると言われている。チャールズ国王は、日頃から交流のあるヨーロッパの王国の友人たちに、自らの戴冠式に参列して欲しいと考えたのだろう。各国も今回、それに応える形を採った。その点では、日本も天皇と皇后の二人が戴冠式に参列してもおかしくはない。

エリザベス女王の国葬に参列された天皇皇后両陛下 ©WPA Pool/getty

 しかし、今回は秋篠宮夫妻の参列となった。なぜなのだろうか。上皇が皇太子として戴冠式に参列したとき、象徴天皇の国事行為を代理する法律が存在していなかったため、天皇は海外を訪問することができなかった。戦前に秩父宮が戴冠式に参列したときは、やはり統治権の総攬者である天皇が海外を訪問することはそもそも想定されていなかった。しかし、現在は天皇も海外へ行くことができる。戴冠式に参列できるはずである。では今回はなぜ、天皇ではなく秋篠宮なのかという問題が残るのである。

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 上皇がエリザベス女王の戴冠式に出席した際は、教育的効果という側面もあった。英語を勉強している皇太子に、実地訓練としての意味を込めて、海外を訪問させようとする意図があった。社交的な性格ではなかった皇太子に、人と接する機会を与え、今後に備えようとする意味もあった。日本国内で海外事情を学んでいた皇太子に、戴冠式だけではなく欧米各国を訪問させることで、これも実地で学ばせようとする意図もあった。いずれも、若い皇太子への教育として、戴冠式への参列が検討され、実行された。その意味では、すでにこうした側面は今回の秋篠宮の戴冠式への参列にはないように思われる。