2022年に崩御を惜しまれたエリザベス女王が遺した数々の金言と、色鮮やかなフォトスナップをまとめた『英国女王が伝授する 70歳からの品格』(KADOKAWA)が刊行された。
同書から、エリザベス女王が「家族」について遺した金言を紹介する。(前後編の前編/後編を読む)。
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夫の浮気に、「見て見ぬふり」をつらぬいた女王
女王は「君主」として称賛を浴びる一方、身内の問題で苦しんだ。子どもにトラブルが多いのは、子どもと十分な時間が取れなかったからと罪悪感を抱いた。それでも、「家族を持つことは素晴らしい」と言い切る。
“幸せな結婚の秘訣は、互いに違う趣味を持つことです
It's the secret of a happy marriage to have different interests.”
女王とフィリップ殿下の結婚生活は殿下の死去で終わるまで70 年以上続いた。お二人の仲睦まじい夫婦生活はよく知られている。それでも、一時、殿下には女優との浮気のうわさが流れ、女王も一部承知していたと言われる。しかし、女王が見て見ぬふりを貫くと、殿下は女王の愛に応えるようになった。
夫婦は相手のすべてを把握する必要はなく、違う方向を向き異なる時間を持つこともまた必要という女王のアドバイスである。
“1992年は純粋な喜びをもって振り返れる年ではありません。
“散々な年”と言ったところでしょう
1992 is not a year on which I shall look back with undiluted pleasure.
—— It has turned out to be an annus horribilis.”
ウィンザー城で火災が起きて、1000 年以上王族が住んだ居城の115 部屋が焼失したと言われる。原因は照明器具でカーテンが燃えるというありふれたものだった。女王にとってはつらい出来事だったけれど、国民に隠そうとはしていない。正直に伝えることで理解を求めた。
また、1992 年は、チャールズ皇太子とダイアナ妃が別居したとのニュースも流れた。「まるでおとぎ話のよう」と国民に称賛された結婚の無残な結果にも女王の胸は痛んだ。
“私は彼女に感銘を受け尊敬していました。
彼女の他者に捧げたエネルギーと、特に2 人の王子への献身的な愛に対してです
I admired and respected her
——for her energy and commitment to others, and especially for her devotion to her two boys.”
ダイアナ妃は、チャールズ皇太子と結婚したものの離婚、その翌年1997 年8月末日にパリで交通事故死した。女王はスコットランドで避暑中で、ロンドンに帰って来ない。国民の悲しみは怒りに変わり、その矛先は女王に向けられた。女王は、ダイアナ妃の葬儀で追悼スピーチを行い、「ダイアナ妃に学びたい」と締めくくった。