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 女王の国民の気持ちに添う言葉で、王室に対するわだかまりは次第に解けていった。在位中最大の危機と言われたダイアナ妃の死。乗り越えたのは国民に寄り添う女王の言葉だった。

“よかった。

メーガンは来ないのね

 

Thank goodness, Meghan is not coming.”

 2021年4月9日にフィリップ殿下が亡くなり、葬儀にメーガン妃が渡英するかどうか、女王は気にしていた。数日すると、リリベットちゃんの妊娠中で「医者から止められた」とのニュースが入った。それを知った女王は思わずこうつぶやいたのだった。

 珍しく女王の本音が出たとして広まり、Tシャツに大書され販売されたりした。女王は静かに夫を弔いたくても、メーガン妃が出席すれば、彼女に焦点が当たって騒ぎになる。彼女が来ないことを知って、ふと女王が漏らした一言だった。

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嫌っていたが…カミラ王妃への評価が一転したワケ

“チャールズが国王になるときは、カミラは王妃になることを望みます

 

I want Camilla, the Duchess of Cornwall, to be known as Queen Consort

when Prince Charles becomes King.”

『英国女王が伝授する70歳からの品格』より

 女王は在位70 周年の記念祭時に、カミラ夫人は王妃になるように望むと明言した。夫人がチャールズ皇太子と再婚したときは将来は王妃にならないとの約束だったが、彼女の勤勉な公務に取り組む姿勢や再婚後のスキャンダルゼロの生活ぶりから判断した。

 将来、彼女の称号については、国民の間で必ずもめると予想していた。チャールズ国王のスムーズな船出のためにも、自分の「一言」が決め手になるよう生前に伝えた。

 夫人のことは嫌っていた時期もあったが、私的な感情に流されず、王室にとっての最善策を発信した。