「『闇金ウシジマくん』の真鍋先生にSOSを送るんです」
――そういう時はどうやって乗り切っているんですか?
結城 お酒でストレスを発散したり、眠れない時は睡眠薬の力を借りたり……。正直に話しますと、まだ精神的に不安定なところがあって、睡眠薬を飲みすぎてしまうこともあります。
そういう状態になったら真っ先に、私の裁判で情状酌量人となってくれた、『闇金ウシジマくん』の作者で漫画家の真鍋昌平先生に相談することにしています。真鍋先生は私に、「生活はご両親が支えてくださると思うので、僕は仕事をサポートします」と言ってくださって、私が欲望に負けそうになったり、気分が落ちたりして連絡するとすぐに「会おう」と言って話を聞いてくれる。今は「薬物をやらない日」をひたすら積み重ねていけるように、日々、気を付けて過ごしています。
――ご両親とは今、どういう関係なんですか?
結城 逮捕を知って、母は相当なショックを受けたはずなのに、面会に来た時には取り乱すことなく、「落ち着いて心を整理しなさい、そして身体を労って」と声を掛けてくれました。そして保釈後は、一緒に実家で暮らそうと言ってくれて……。保釈後に生活を乱さず、薬物治療をしっかりできたのも、両親の支えがあったからこそ。本当にいくら感謝してもしきれません。
「逮捕されて、乖離した自分がまとまりつつある」
――今、薬物に依存してしまった時期を振り返って、どのようなことを考えますか?
結城 よく「薬物事件には被害者がいない」と言いますが、私は両親や仕事の関係者に嘘をつき、裏切り、傷つけてしまった。そこの後悔は消えません。ただ、一方でこの経験からすごくいろんなことを学ばせてもらったとも感じています。
それは人に感謝する大事さや愛だったり……。そして、自分にとっても必要な経験でした。これまでの私は表の顔と裏の顔を使い分け、表面だけいい子に振る舞っていました。でも逮捕されて、これ以上ないところまで落ちたことで、そんな乖離した自分が、ひとつにまとまりつつあると感じるんです。
――二面性を抱えながら生きるのはつらかった?
結城 そうですね。誰かの期待に応え、理想の自分であるために無理をしていた反動で、万引きや薬に走っていたのだと思います。だから今、ある意味自分の人生がちょっとすっきりしたところがあって。今まではミスキャンパスの「清楚」「才女」のイメージにあわせて黒髪に白い服というスタイルが求められていましたが、今は金髪に黒の服という自分の好きな恰好ができています。
逮捕されてやっと、自分が自分らしいなと感じることができるようになったんです。この自分でまたAVに復帰できたら……。それを目標に、いまを生きています。
写真=©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔
2022年「事件部門」BEST5 結果一覧
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