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「私は爆弾でいたい」「誰かぎゅっと捕まえて」吉本新喜劇のスター女優・島田珠代(52)が芸歴35年を重ねて、あらためて気づいた自分の「根っこ」《山あり谷あり、沼地あり》

島田珠代さんインタビュー #2

genre : エンタメ, 芸能

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 近年、若手芸人がMCをつとめるバラエティ番組に、あたかもぽっと出の新人のように混じっていることがある。関西圏で過ごしたことのない人間にはあまりなじみのないその女芸人・島田珠代は、芸歴35年を数えるベテランだ。

 ある時は、前後の脈絡を投げ捨て「珠代のおっばい、チョモランマ~♪」といきなり歌い始める。またある時は、愛を告白した男性に振られ、しつこく食い下がっているうち、最終的に舞台セットの壁に向かって投げつけられ「大」の字に衝突する。

 奇抜なギャグとキャラクターで、もはや人気は全国区。とはいえ、彼女はかならずしも“テレビタレント”ではない。笑いの殿堂、大阪・なんばグランド花月で毎日のように体と人生を張って舞台に立ちつづける、当代きっての舞台女優でもある。

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 彼女はなぜお笑いの道を選び、舞台を踏み、ギャグを繰り出し続けるのか。稀代のコメディエンヌ島田珠代の全貌に迫った。(全2回の2回目/最初から読む

Ⓒ文藝春秋/細田忠

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流れに身を任せていたら、お笑いの世界に住み着いてた

――デビューはダウンタウンが司会をしていた「4時ですよ~だ」という関西の伝説の番組ですよね。

島田 友達が「珠代面白いから」って、番組の素人参加コーナーに勝手に応募してたんです。まあいいかと思って、友達に言われるまま心斎橋の2丁目劇場に行って、スタッフさんの言うとおり舞台に出て、普段学校でやってるような一発ギャグを披露したらなぜか優勝して。「他にも面白いギャグあるで」と思ってたので、その次の週も劇場に行って舞台でやったら2週連続で優勝させてもらって。これがデビューといえば、デビューですね。

Ⓒ文藝春秋/細田忠

――この世界でやっていけそうって手ごたえを感じましたか。

島田 17の終わりから18にかけての頃で、ちょうど将来のこと考える時期ですよね。そういう年頃のときに、吉本の社員さんの目に留まったのは大きかったんかなあ。この時も、お笑いの道に進もうとちゃんと考えてたわけやないんです。社員さんが勧めてくれるまま劇場に通い続けて、舞台に上がって、そのまま高校卒業して……。流れに乗ってたら、お笑いの世界に住み着いてたっていうのが本当のところかもしれません。親は本当は大学に行ってほしかったみたいですけど。

10代から変わらない芸風

――反対されたんですか?

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