性格、キャラ、佇まい――すべてが対照的な2人
タイガースファン待望の企画が実現したのは、2月の春季キャンプ中のことだった。高卒7年目で2016年ドラフト同期入団の才木浩人と浜地真澄の対談形式でのインタビュー。実はチーム内、ファンの間でも不仲説がささやかれていたことがあり“微妙な関係”の2人にその真相や、互いの意識などぶっちゃけトークを繰り広げてもらう……という趣旨で入団1年目から取材してきた筆者も聞き手としてその場に立ち会った。結論から言えば、めちゃくちゃ盛り上がった。冒頭、こちらからいきなりぶっ込んだ不仲の話題には、浜地が「想像にお任せします」と顔を伏せ、才木も「好きなように思ってください」と多くを語らず。多感な10代でプロ入りし、しかも同期。一軍デビューは才木の方が早く、まぁいろいろあったのだろうと察した。
この2人、性格、キャラ、たたずまいは実に対照的だ。才木はこちらがSNS投稿用にカメラを向ければ変顔を披露してくれるような茶目っ気たっぷりの“陽キャラ”タイプ。一方で浜地は自ら前に出るようなことはないものの、チーム随一のイジられ役で今はメジャーリーガーになった藤浪晋太郎、岩貞祐太らに可愛がられていた。そんな先輩を酒席では「藤浪!」と呼び捨てにしたり、実家が酒造業なのにアルコールに強くなかったり、イジられ要素に事欠かない。ただ、キャラは正反対でも2人の野球に対する探究心や向上心の高さは甲乙つけがたい。
“前フリ”が長くなってしまったが、ここからが今コラムの本題。野球に対して真摯で真面目だからこそ、取材する側も常に気になる存在でついつい活躍を願ってしまう。
そんな有望株コンビは今季、平坦ではない道を歩んでいる。ともに開幕一軍メンバー入りを果たし、才木はローテーションの一角としてDeNAとの開幕3戦目に抜擢され幸先よく、白星もマーク。だが、4月30日のヤクルト戦(神宮)では3回3失点と精彩を欠いて降板するなど、3連敗で二軍降格となった。浜地は、昨年52試合に登板して防御率1点台の実績を買われて若き守護神の湯浅京己につなぐ勝利の方程式の一員としてシーズンイン。開幕2戦目で初ホールドを手にしたものの、なかなか状態は上がってこなかった。4月4日の広島戦(マツダスタジアム)を皮切りに3試合連続失点し、11日の巨人戦(東京ドーム)では2被弾4失点で1死しか奪えず出場選手登録抹消となってしまった。