武藤 あ、そうですね!(笑) 本当にそうかもしれないです。まあ世代によって、感じ方もグループでの生き方とかも全く違うと思うので、私はそうでしたっていうことだけなんですが。上の世代も体育会系というか、縦社会だったと思いますね。でも本当に、同期とか、1、2個上の期とかは、「AKB=修行の場」って言ったらみんな同意すると思います。私も、入山杏奈さんと加藤玲奈さんがなにかの取材で「(AKBの活動は)修行だった」って言ってるのを見て、「え、めっちゃわかる!」ってなったんですよね、たしか。それはやっぱり、輝いていた一番上の期になんとか追いつけ追い越せっていう熱い空気というか。ちょうどそういう時期だったんだと思います。
人の良さを見つけられたから「自分らしさ」が作られた
――「修行の場」だったAKB48で何を得たと思いますか?
武藤 難しい、なんだろう。得たこと……。一つは向上心。それから「人のいいところを見つけること」でしょうか。
――「人のいいところを見つける」とはどういう意味ですか?
武藤 AKBにいると、いろんな才能を持ったメンバーや努力しているメンバーがいて、あの人のここがいいなっていうことがたくさん出てくるわけですよ。私なら大島優子さんに憧れて、優子さんみたいになりたいって頑張るわけですが、やっぱり優子さんにはなれない。でもそれって無駄なことじゃなくて、目指す過程で自分が得られるものって間違いなくある。他のメンバーでもこの人の良いなって思うところを、どうしたら同じようになれるかなって考えていくことで、自然と自分らしさが作られていった気がします。
グループを卒業した今でもすごくこの力は活きていて、例えば、この人のコメントはなんでそんなに多く使われるんだろうって観察できるようになったんですよ。やっぱりそれもAKBにいたからだなって思うんですよね。
――「自分にとにかく自信がなかった」と振り返っていただきましたが、今はどうでしょうか?
武藤 今は、もう鬼メンタルです。AKBという修行の場を経験して、めちゃめちゃメンタル強くなったと思いますね。ちょっとやそっとのことで動じなくなりました。それはAKBにいたからこそ。若いうちに貴重な経験をさせてもらいました。
撮影 佐藤亘/文藝春秋
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