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“これまで各社が何度チャレンジしてもダメだった”商品の転換点

 だが、さまざまなデータを調べるうちに、人々の意識が変化していることに気づき、成功する可能性を見出して商品化を決めたという。その際に注目した変化は、飲酒習慣の減少と炭酸水など無糖飲料の拡大だった。

 アルコールと清涼飲料の間に位置する「ノンアルコール飲料」市場が年々拡大していることは、これまでお酒が飲まれていた場面で、大人がのどの渇きを癒す新たな飲み物を提案するチャンスにつながっている。

ノンアルコールの売り場は年々売り場面積が広がっている

この10年で劇的に下がった“ある数値”とは?

 飲酒習慣率は、週3日以上の飲酒習慣がある人が50代以下の世代では10年間で減少している。男性では30代で32.4%(2009年)から24.4%(2019年)に、40代で45.2%(2009年)から38.3%(2019年)に、50代で48.7%(2009年)から41.4%(2019年)になった。(厚生労働省「国民健康・栄養調査」)

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飲酒習慣のある人の数は全体的に10年で大きく減っている。 飲酒習慣率の変化 2009年と2019年比較 週3回以上/1日1合以上の飲酒習慣(資料=厚生労働省「国民健康・栄養調査」より)
飲酒習慣率の変化 2009年と2019年比較 週3回以上/1日1合以上の飲酒習慣(資料=厚生労働省「国民健康・栄養調査」より)

 また、炭酸水など無糖の炭酸飲料の消費が30代以上の大人世代を中心に伸びている。無糖飲料は2020年頃から清涼飲料市場の販売構成比の50%を超えるまでに拡大した。

炭酸水の消費量も伸び続けている

 これらの要因から伊藤園は無糖の炭酸コーヒーの成功可能性が高いと考え、挑戦することにしたという。車で出かける際のレジャーにおける需要や、飲食店のノンアルコール需要なども見込んでいる。

コーラと組み合わせる、微炭酸にする…各社がチャレンジし続けた「炭酸コーヒー」というジャンル

 “コーヒー×炭酸”の提案は40年以上前からあったが、特に2000年以降は大手各社が挑戦している。習慣的に飲まれるコーヒーを活用して、自動販売機を中心に商品のバラエティ感を演出した。

 そして、2007年以降は、カロリーゼロコーラなど、ゼロカロリー炭酸が市場で人気を集めて30代以上の大人が炭酸飲料を飲む回数が増えたことも炭酸コーヒーの開発を後押しした。ほとんどの商品は短期間で販売終了したが、コーヒーと炭酸の組み合わせはインパクトが大きく、人々の記憶に残っている商品が多い。