伊藤園は5月8日にコーヒー入り炭酸飲料「TULLY’S COFFEE BLACK&SODA GASSATA(ガッサータ)」(370mlボトル缶)を発売した。エスプレッソコーヒーに炭酸を加えたすっきりした爽快な味わいを謳う。

「ガッサータ」は、イタリア語で「炭酸」の意味だ。エスプレッソコーヒーを炭酸で割った飲み方は、南イタリア・カラブリア州で半世紀以上も前から親しまれており、南国ならではの楽しみ方だという。新商品の原材料にはアラビカ種コーヒー豆を100%使用。ひと手間かけてグラスに注ぐと、黒ビールのようなクリーミーな黒泡が楽しめる。

新しく登場した「TULLY’S COFFEE BLACK&SODA GASSATA」。これまでなかなか定着してこなかった「炭酸コーヒー」のジャンルに何が…?

各社が何度挑戦しても日本で定着してこなかった「炭酸コーヒー」。それでも発売に踏み切れた理由は…

 コーヒーと炭酸を掛け合わせたいわゆる「炭酸コーヒー」は、各社がこれまで何度も挑戦を続けてきたジャンルだが、日本市場で定着するのは難しかった。

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 今回、伊藤園はなぜ勝算を見出して商品を発売したのか。それは、炭酸水市場が拡大して甘くない炭酸飲料に慣れた人や、リラックスタイムを酔わずに楽しみたいとノンアルコール飲料を選ぶ人が増えたことが背景にあるという。

これまでの「炭酸コーヒー」に“どうしても必要だった”共通点とは?

「TULLY’S COFFEE BLACK&SODA GASSATA」が、これまでのコーヒーと炭酸を掛け合わせた多くの商品と異なるのは無糖であることだ。コーヒーに炭酸(ガス)を入れると酸味が強くなってしまうため、従来の炭酸コーヒーの多くは、味わいを調整するためにどうしても甘さが必要だった。

 伊藤園はあえて無糖に挑戦し、炭酸コーヒーに合う、コク深いコーヒー豆の種類を突き止めるとともに、最適なガスボリューム(2.2ガスボリューム<飲料中の炭酸ガスの含有量>)にたどり着いたという。伊藤園マーケティング本部の内山修二副本部長は、「200回以上試作品を作り、エスプレッソの香りを引き立たせるガスボリュームと酸度にようやくたどりついた」とする。

 もともとは、伊藤園の商品開発を担当する若い社員がコーヒーの新しいおいしさを探る中で、炭酸コーヒーの試作品を実際に作ったことがはじまりという。先輩社員は、試作品をおいしいと感じながらも、炭酸とコーヒーをかけ合わせた商品は、これまで各社がチャレンジしたものの市場で定着しなかったため商品化は難しいと考えていた。