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「ハリウッドは何もかもスケールが違う」

 日本映画とハリウッド映画を両方経験してみて、両国の撮影現場はむしろ共通していることの方が少ないのではないかと思うほど、違うことばかりでした。僕の役者としての本格的なキャリアは日本映画から始まっているので、もちろん日本映画には特別な愛着があります。でも今回初めて本格的にハリウッドの現場を経験して、何もかもスケールが違うことがよく分かりました。

『聖闘士星矢 The Beginning』・公開中・東映 ©2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd. All Rights Reserved

 まず、撮影にかけることができる時間が違います。日本映画は限られた予算内で短期間に撮り終えるケースが多いのですが、今作の撮影期間は約4か月。アクションシーンの練習期間もたっぷりと取ることができ、約1か月間集中して取り組むことができました。

 当然、求められるアクションのクオリティも世界最高レベルのものでした。今回スタント・コーディネーター(アクション指導)を務めたのは、ジャッキー・チェンのスタントを担当したアンディ・チャン。彼は最近ではマーベル映画のアクションも担当しています。

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 世界のアクションの最高峰を知るプロフェッショナルですから、その指導は練習の段階からハードでした。それまで僕は、ワイヤーを使うような大掛かりなもの以外なら、大抵のアクションはあまり多くの日数をかけなくても仕上げられる自信がありました。ところが今回の練習期間は1か月間、毎日新しい発見があり刺激的な日々の連続でした。

『聖闘士星矢』のアクションは刀や銃といった武器を使ったものではなく、拳と拳のぶつかり合いがメインになります。細部にまでこだわった軽やかな動きから、大きくて迫力のある動きまで様々な身のこなしが求められました。

 そのための身体づくりも必要だったので、撮影が終わるまで筋肉を落とさないようにトレーニングに励みながら、同時に食事管理による減量も行いました。練習の初日から「うわあ、ここ、最高だな」と圧倒されたことを覚えています。