「お笑いが、僕の人生の全てを救ってくれた」。お笑いコンビ「パーパー」ほしのディスコによる自伝的エッセイ『星屑物語』には、そう綴られている。
「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」という病気を抱えていた彼は、絶望とコンプレックスにさいなまれていたことを隠そうとしない。それでも夢を追い続けた――。覚悟の裏側にあったものとは。(全2回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
――『星屑物語』では、死を意識するほどの絶望を感じていた学生時代の回想など、ほしのさんの知られざる側面が赤裸々に綴られています。「今こうして生きているのは、人生のアディショナルタイム」とまで表現されている。
ほしのディスコ(以下、ほしの) 当時は、自分に対していろいろなコンプレックスがあって、人に会うのも嫌でしたし、何もかも自分にはできないんだろうなという絶望感しかなかったです。
生きているのが辛いという時期があったんですけど、死ぬこともできず、最終的に「自分は一度死んだ」ことにしました(苦笑)。生きてはいるけれど、「そこから生き返った」という設定にすればいいって。この先、どんなにきつくても、いくら悲しくても、こう考えればあきらめることができるだろうと思ったんですよね。
人生の救いとなったゲームソフト
――その考えにいたらせてくれたのが、ゲームソフトの『ロックマン』だったんですよね?
ほしの 年齢が一つ上の近所のお兄ちゃんみたいな人がいまして、その仲の良かったお兄ちゃんがよく『ロックマン』をプレイしていました。その影響もあって、初めて買ってもらったゲームソフトも『ロックマンX3』。
ゲームの途中で何度も死んで、先に進めなくなってあきらめようとした後に、ラスト1回と思って軽い気持ちでプレイしてみると意外と上手くいく。自分もそういう軽い気持ちで生きてみてもいいのかな……って思えるようになったのは、『ロックマン』のおかげです。
僕は、そのシステムを人生に採用したんですけど、2機目どころか、もう何十機も死んでしまっています、ははは。
「口唇口蓋裂」を公表した理由
――どうしてそこまで思い詰めたのか――。その理由が本書では明らかにされています。ほしのさんは、上唇と口の中の天井部分が裂けた状態で生まれる先天性の「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」という病気を抱え、幾度となく手術をし、喋る際にも発音がままならなかったと。