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父親は「犯人ならわかります」

「大変だと思って近くに駆け付けました。しばらく男の子は目を開いていたのですが、だんだんと薄目がちになり、ついには閉じてしまって心配になったんです。ただ、救急車で運ばれるときまで意識はあったようです。警察への電話は途中でお父さんに代わってもらったのですが、その時に『犯人ならわかります』と言っていたのを覚えています」

 いつものように学校に行き、友人たちと学校生活を過ごすはずだった少年の日常は、身勝手な犯行により壊されてしまった。被害者の自宅近くの住民は、被害者一家は誰かに恨みを買うような人たちではないと、怒りに声を震わせる。

少年が倒れていたガレージ

「被害にあった男の子は『いってらっしゃい』と声をかけると『こんにちは』と必ず挨拶を返してくれるいい子でした。被害にあった一家はいたって普通の家庭で近所トラブルがあったこともありませんし、誰かの恨みをかうような人たちではないと思います」

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「いつもうつむきがちで背を丸めて歩いていた」

 一方の山下容疑者は、事件以前から被害者の父親が勤務する家電量販店を訪れては、父親を指名して接客させ、度々トラブルを起こしていたという。その山下容疑者に対し、近隣住民の女性は「近くに住む人だと思っていた」と語る。

「容疑者のことは近所でよく見かけていました。事件現場の近くはもちろん、近所の公園にいる所も見かけました。いつもうつむきがちで背を丸めて歩いていたのを覚えています。だいたい逮捕された時のようなラフな格好をしていました。この近所に住んでいる人なのかな、と思っていましたが、まさかこんな事件を起こすなんて……」

山下容疑者が目撃されていた公園

 住宅街とはいえ、蒲田駅から数百メートルの現場付近は日中の人通りが多い。平日であっても容疑者と同じ年代の男性も少なくなく、容疑者が街の風景に溶け込んでいたのも頷ける。ただ、事件の前日には犯行の前兆ともいうべき騒動が起こっていた。