古代ギリシャ神話に登場する伝説の女戦士部族「アマゾーン」とはどんな女性たちだったのか? 歴史小説家の黒澤はゆま氏の新刊『世界史の中のヤバい女たち』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

伝説の女戦士部族「アマゾーン」とはどんな女性たちだったのか? 写真はイメージ ©getty

◆◆◆

伝説の女戦士部族「アマゾーン」

 伝説の女戦士部族、アマゾーンを知っていますか? 古代ギリシャ神話は彼女たちの勇姿をいきいきと描いています。

ADVERTISEMENT

 武装した女性で構成され、狩猟の女神アルテミスを崇拝。リーダーは知勇に優れた2人の女王がつとめ、政治はすべて女性だけの手でとり行いました。人類で初めて馬に乗った人々とされ、優秀な騎手であるとともに弓の達人でした。

 子供は近隣の部族の男とセックスするか戦争で得た捕虜を犯して得ます。男の子は父親のもとに返すか荒野に捨て、女の子だけ手元に置き戦士として育てるのです。

 彼女たちは小アジア(現トルコ)のテルモドン川(現テルメ川)下流のテミスキラを本拠とし、一時はその武勇でアナトリア半島を席巻、エフェソスなど数々の街を創設しました。

 しかし、ヘラクレスをはじめとする英雄たちとの戦いによって衰退し、最後はアキレウスに女王ペンテシレイアを討たれ滅びたとされています。

アマゾーン伝説は作り話なのか?

 女によって統治された女戦士の集団。アマゾーンの伝説は、これまで長く荒唐無稽な作り話であると考えられてきました。

 しかし、1994年、アメリカの女性考古学者ジーニー・デービス・キンバルは、ロシアの草原ポロコヴカで古墳を調査中、衝撃的なものを発見します。

 それは、矢尻や剣などとともに埋葬された女性たちの骨でした。

 手には弓弦をひいた跡があり、坐骨は乗馬のためにすり減っていました。副葬品の豪華さからも、彼女たちが部族のなかで重要な地位を占め、武器を取って戦える戦士であることは明らかでした。

 デービスは古墳に眠る彼女たちの姿をこう表現しています。