物を動かしてくっつけるウルトラハンドも、物の時間を巻き戻すモドレコも、武器と素材をくっつけるスクラビルドも、すべて「かけ算の遊び」である。
そこにあるものを組み合わせると新たな可能性が生まれるし、さらに冒険を進めると新しい素材が手に入り、またかけ算の要領でできることがどんどん増えていく。それぞれのツールの使い方を習熟していくと、さらに新しい何かがプレイヤーにひらめくわけだ。
いわば、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、広大な砂場にたくさんのおもちゃと課題を用意したかのようなゲームである。前作からツールと素材がかなり進化しているおかげで、プレイヤーが見つける可能性はますます増え、遊べば遊ぶほど新しい何かが発見されるゲームになっているのである。
国内外での高評価のワケ
なお、本作は『マインクラフト』のような「何かを作るようなゲーム」ではないところがポイントだ。『マインクラフト』であれば家を作ったり町を作ったりと、目的も自分で見つけなければならない。しかし、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では課題がある。
本作では、プレイヤーに「謎を解く」だとか「敵を倒す」といった目的が提示される。そして、ツールを使って自由にそれを達成すればよいのである。自由帳にきれいな絵を描くようなゲームではなく、いわば「むちゃくちゃなDIYが推奨されるゲーム」なのだ。
オープンワールドのゲームもかなり一般的になってきたが、しかし『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ほど自由に謎解き・バトル・移動ができるゲームは類を見ない。噛めば噛むほど味が出る可能性を秘めた傑作であり、ゆえに国内外で高く評価されており、遊んでいる人たちの心を鷲掴みにしているのだ。