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「死ぬ前にちょっと良いことしたいなって」16歳で極道入り、恐喝で捕まったことも…元ヤクザの組長(54)が「みんなから愛される実業家」に変身できたワケ

『西成で生きる』 #1

2023/05/21
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「いえいえ、全然。ここの会社に、おじいちゃんとか精神を病んだ方とか、色々頼って来られたんでね。それならちょっとでも良いことしてあげたい、助けたいなと思ったんですね。最初は本当にお手伝いしていただけなんですが、そこの社長がハシケンさんなら自分でできるから、ということで融資をしていただいて、それでここを立ち上げたんですね、それがきっかけです」

――正直、私なんかは人を助けようという気持ちが生まれないので、ハシケンさんは弱きを助け強きをくじく任侠道の世界を実践してきたからなのかと思うのですが……。この介護事業やられて何年ですか?

「2年と4ヶ月ですね。不動産をやっている会社は4年やね。いや、今年の8月で5年ですね」

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――なんでそんな良い人になっちゃったんですか? 過去取材した人はみんなこれから介護がおいしいと言っていた人は何人もいたのですが。

「国からこの事業者は何人でナンボっていうのが決められているんですよ。正直事業は赤字です。毎月赤字です。僕の財布から毎月50万出ています。始めた時は100万出ていました」

ハシケンさんの過去

――ヤクザは何年やられていたんですか?

「16からです」

――今おいくつですか?

「54です」

――16からやっていてカタギになることに抵抗はなかったんですか?

「いやもう、ヤクザやっている時、僕は一生この道で行こう、と決めていたんですね。破門されてうちのオヤジが、たまたま僕のソリの合わないところに行ったんですね。ヤクザとしてどうかな、と思う人の下でヤクザやれんでしょ。これは無理や、ということで自分の気持ちに蓋をしたんですね」

――懲役は2回ですか? 僕は今ライターしているんですけど、絶対いい人ではないんですよ。ハシケンさんはよくそういう心境になられましたね。

「元々からやね、自分で言うのもあれやけど極道背負っていても、自分より立場の弱い人間はいじめてきてないんですよ。全て助けてやる。大阪でハシケン言うて、ああハシケンさんね。あの人ね、と言うてくれる」

 実際にハシケンさんの名前は売れていた。大阪でヤクザの看板を背負っていれば、その名前を聞いたことのない人はいないであろう。そのくらい現役当時は暴れていたのだ。

――ヤクザはカタギに好かれて同業に嫌われてナンボですもんね。

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