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「死ぬ前にちょっと良いことしたいなって」16歳で極道入り、恐喝で捕まったことも…元ヤクザの組長(54)が「みんなから愛される実業家」に変身できたワケ

『西成で生きる』 #1

2023/05/21
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「そういう場面にはもう出て行かれへんぞ、それは無理やぞ、ということは言ってます。それはどなたさんにもビシッと線引いているつもりです」

今は「ヤクザとの密接な付き合い」はいっさいない。写真はイメージ ©getty

――それが出来ていれば問題はありませんよね。

「実際ヤクザで現役の方もいっぱいいますから。この裏にもありますからね。ひとつ付き合いすれば、あっちもこっちも、となりますから。だからそこは丁重にすんまへんと。ここにいる人らは僕が現役やった時も知ってくれていますからね。あんま変なことで突っつかれることありませんし、いま介護事業もやっていますから、僕も変なことで出て行きませんから。あと人夫出しも、一応やっています」

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「僕は1円も抜いてない」

――人夫出しはあいりんセンターの近くでですか?

「ちょっと違いますね。うちはセンターのとこに立たせてるんでなしに、僕の周りにはほんまいろんな人がいるんで、その中でこの子は仕事できるな、と思う人間だけを面接させてどっか連れてったれ、ということでやっています。

 僕は1円も抜いてないし、紹介料も貰っていませんよ。後のトラブルも大変ですからね、紹介ですよ。余計なことしてもしょうがないしね」

――ここの作業場の営業時間は何時ですか?

「朝の9時から3時まで」

――ハシケンさんは9時から来るんですか?

「いやもっと早いです、8時前には来てますよ」

――ヤクザやっている時とは昼夜逆転ですね。元々率先して自分がやるタイプですか。抗争の時にも自分で行くタイプですか?

「若いもんにあれやれ、これやれ、言うより自分で行くタイプですね。掛け合いみたいなもんは、思うようなもんが出てこなかったら自分で行って掛け合いした方がね」

――それはそうですよね。同じ10万でも、頭下げて貰うより自分で威張って取って来た方が価値ありますもんね。

西成で生きる この街に生きる14人の素顔

花田庚彦

彩図社

2023年3月20日 発売

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「死ぬ前にちょっと良いことしたいなって」16歳で極道入り、恐喝で捕まったことも…元ヤクザの組長(54)が「みんなから愛される実業家」に変身できたワケ

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