「僕はね、頼ってくるもんは面倒見てやると。それは仕方ない。よその道で飯食えるように頑張りやと。
でも嫌なもんは嫌やからね。親分に、おいハシケンこうやないか言われても、自分ができないもんは、どつかれても蹴られても、オヤジそれはできまへんと。そこを曲げてまでヤクザやろうとは思わんかったからね」
――最盛期には若い人間は何人くらいいたんですか?
「元々はね、山口組系の橋本興業と言う事務所だったんです。そん時15人いました。先代が亡くなられて2代目になったんですが、その2代目とワシが合わんと。俺は俺で勝手にするぞと、破門するなりなんなり、どないでもせえ。言うて、若い衆連れて離れたんですよ。その時、今のオヤジがワシを養子縁組に。元々山口組系の若頭だったんですよ」
――平成25年にカタギになれば、暴力団排除条例にも触れないですもんね。
「今はまだ府警本部と掛け合っているんやけど、ちょっと待てと言われますね。会社の役員なんかはまだアカンと。僕んとこは介護事業やからね、僕が役員に入るとここを閉めなあかんことになるんで、いまは息子が代表者なんですよ。
ここの立ち呑み屋のお店も僕が大事にしていた若い子がやっています。売り上げの吸い上げは一切していません。ここの売上の何割かもってこいということはね。昔はしましたよ、ヤクザだからしゃあないでしょ。シノギかけたら“お前、こうせい、こんだけ持って来い”いうのはね。今はカタギになりましたんでね」
吸い上げとは、ヤクザ用語で“カスリ”ということである。儲けた金を運べ、という意味だ。それを一切していない、とハシケンさんは語る。
今はヤクザとは一線を引いている
――ヤクザの考え方が根付いていたわけじゃないですか。よく変わりましたね。
「これは僕の周りに今いて頂いている社長連中、オーナーさん、いろんな方がおられるんで。僕自体が変わらんと、そこのパイプがダメになってしまいますから。いま、あいさつ程度のヤクザとの付き合いはいくつかさせてもらっていますが、それ以上の深い付き合いいうのはしていません」
――組織ではなく、人との付き合いですからいいと思うんですが、確かに府警本部から見ればあいつは密接交際じゃないかということは言われますよね。