「阪神敗れる」がニュースになるのですから、いかに異常な勝ちっぷりだったかがわかります。7連勝して1つ負けて9連勝。16勝1敗って横綱レベルです。

 岡田監督はシーズン前も、シーズン中も、つねづね「普通にやるわ」と言いつづけていますが、その結果、異常な白星量産となっています。今回は0対4で久々に完敗した昨晩(5月31日)の対西武2回戦を「題材」に、岡田監督の「普通にやる」とは何なのか、なぜ普通じゃないペースで勝てるのかを探ってみようと思います。

岡田彰布監督 ©時事通信社

 まあ、たまには負けるのですが、負けるにしても「ブルペンデー」の西武に対し、チャンスを逃しまくって完封リレーを決められたのはかなり残念でした。この苦肉の策にうまくハメられたことは、ちょっと気にしておきたいところです。

ADVERTISEMENT

 阪神のように先発ローテ陣が優秀だと、安定感のある戦いができます。先発がイニングを食いますから、リリーフが登板過多になりにくい。ただ、クライマックスシリーズなど、短期決戦ならこの日の西武のように、どんどん投手を交代して目先を変えてくる手はあります。そういう意味で先のことが今から心配になる敗戦でした。

敗因はアンラッキー。ただ不運が入り込む隙があった

 この試合、阪神にはツキがありませんでした。明暗を分けた初回の攻防、阪神は先頭の近本が右越二塁打で出ましたが、中野の痛烈なライナーはサード正面。進塁打を打てるボールはいくつもありましたが、岡田監督のサインは「自由に打て」だったといいます。先発本田が不安定なのを見て、1点だけでなく初回猛攻を狙ったのでしょう。

 岡田監督の指示は「普通」だったと思います。バントや進塁打で1点だけ取りに行くのはちょっともったいなかったので。あの中野の一打がヒットになっていれば、この試合の様相は全然違っていたでしょう。

 一方、西武の初回はポテンヒットの連続。これまたツイていませんでした。結果的にダメ押しとなった7回の2点も、ボテボテゴロが一塁線上で止まるアンラッキーな内野安打が起点でした。

 運・不運の「原因」探しは、ちょっとこじつけになってしまうのですが、西勇&梅野のバッテリーは、不運が入り込む隙を与えてしまいました。西武打線は極度の不振に悩んでいたので、もっと飲んでかかって、威圧感を見せてほしかった。「かわそう」という意図の逃げる変化球が多く、勝負どころでそれを拾われるケースが多かった。

 逆に前日の村上&坂本バッテリーが、運・不運の入り込む余地がないくらい威圧的な投球をしていました。テンポの良い投球間隔でグイグイ攻め込んでいました。考える隙を与えず、勢いのある直球で押し込むので、変化球でも完全にタイミングを外せていました。まあ、現状における村上と西勇の力量差と言ってしまえばそれまでなのですが、この日は配球的にも弱気な感じがしました。