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どんな小さなことでも、毎日続けていれば大きな結果を生み出すかもしれない

 それでも、ここはプロフェッショナルが集う戦場だ。必要なものではあるが、気持ちの強さや意地だけでは屈強な打者をなぎ倒してはいけない。着実に増やしてきた引き出しと積み重ねてきた経験を生かしたのは、開幕間もない4月8日のヤクルト戦のことだった。試合前のキャッチボール中に背中に鈍痛が走った。「まずいな……」。過去に何度も痛めてきた古傷で、離脱を余儀なくされた過去もある。疲労が溜まってきたら“信号”が出る箇所でもあった。まだシーズン序盤。無理をするタイミングでもなく登板回避の選択肢もあったが、簡単に「×」ポーズは作らなかった。試合中のブルペンで痛みの出ないフォームの“急造”を試みるなど試行錯誤。

 果たして、出番はやってきた。それも1対0の7回としびれる場面。2死一、三塁とピンチを背負ったものの無失点で終えた。ここにケガの功名があった。「痛みのないポジションを考えてやったら、バランス良く投げられたので。今のベストはこれなんじゃないかと」。戦線離脱の危機を乗り越えた先に最良のフォームという副産物を手にした。奇しくもその試合から17試合連続無失点を今も継続中(6月6日時点)。「岩崎はいつも春先は(調子)悪いんやけどなぁ」と、岡田監督も首をひねる「春の無双」は好不調の波では計れない中堅左腕の危機回避能力と年輪がなせる業でもあったのだ。

 岩崎は「継続」という言葉を大切にしてきた。「どんなに小さいことでも良いので、毎日続けていれば、いつか大きな結果を生み出すかもしれないし、何かにつながる」。野球を始めた中学生の時、練習終わりに自宅を出発点に毎日7キロのランニングを欠かさなかった。「3年間やり通しました。寝てしまってもその後に起きて走りに行って。雨の日も風の日も走りましたね」。単調できつい往復で得たものは体力だけではなかった。ドラフト6位入団からリーグを代表するリリーバーになった今だからこそ実感する「継続」という言葉の可能性。それは30歳を過ぎた今も変わらない。勝敗のかかったマウンドに向かうため毎日ひたすら準備し、腕を振る。キャリアで未経験の優勝という頂(いただき)につながると信じ、きょうも岩崎優は“継続の旅路”を歩む。

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