それにしても先々週6月10日のタイガース戦は残念でした。同点の8回表に宮西尚生が登板して三者凡退、よしホールドと思いきやその裏にファイターズが勝ち越してしまったのです。791日振りの勝利投手を残念と言うのも変なのですが(本人もインスタグラムにウィニングボールの写真を載せてたくらいで感慨深かったようですし)、いや、だって、ホールド数が、ねえ。

宮西尚生 ©時事通信社

宮西尚生引退セレモニーを想像するのが楽しみなんです

 6月15日現在、通算391ホールド。400の大台が目前です。開幕前の時点で380ホールド、それで2カ月半で11ホールドの上積みですから、このまま順調にいけば今季中の達成はまず確実でしょう。と思ってはいても、ついついやきもきしてしまうのが人情です。

 そもそもこうして彼の記録でやきもきできるということ自体、何だか感無量なのですよ。シーズン50試合登板の連続記録がついに途切れた昨年は、これはいよいよ引退が近いかなと覚悟しました。なので左肘クリーニング手術に踏み切った時には、故障の程度を案ずるよりもむしろほっとする方が先に来たものです。治療するならまだ引退はないなと。

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 手術明けの今シーズン、これまでのところ心配したのは取り越し苦労だったとさえ思うような貫禄の投球を続ける宮西尚生がいます。もちろん全く打たれない訳ではなく敗戦投手になったこともありますが、打たれたとしても今は「そうか今日はやられてしまったか」と思うだけなんですね。これが去年だったら「今日もやられたか……」でした。「今日は」と「今日も」、この違いは天と地です。

 とはいえベテラン選手の場合、「続けるため」よりは「終わるため」に体を万全に戻そうとしていたのかと後に思い当たる稲葉篤紀や金子誠のような例もあるので、まだ油断は禁物と思ってはいるのですが、去年は肘の痛みのみならず《半分、うつのような状態》(5月17日付道新スポーツ)だったと聞いた今、刀折れ矢尽きボロボロになって斃れる彼を見ずにすんだことを取り敢えず安堵しております。池山隆寛引退試合のような悲壮さは、できればもう二度と見たくないですよ。

 ってさっきから終わるとか引退試合とか何を言ってるんだという感じですね。実は、宮西尚生引退セレモニーを想像するのがある意味私の楽しみなんです。まだまだ先であってほしいけれどもいつかは必ず来るその日は、どれほど華々しいイベントになるんだろうと。2017年のオフに彼がFAせずファイターズに残ることを選んだ時から、そう思うようになりました。

 というのはその時に球団が「このチームで引退してほしい」との殺し文句を放ったんですね。9割方は移籍することになるだろうと本人自ら思っていてメジャー挑戦も考えていたのがこれでころっと引っくり返り、更に1年後。新球場計画が正式に発表された直後の契約更改では「新球場でも投げ続けてもらいたい」「二度と破られない数字を作ってくれ」と殺し文句第2弾が出た訳です。