ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題について、藤島ジュリー景子社長が5月14日に動画と文書を公表した。翌日からどんな報道があったのか読み比べをしてみます。

「あの騒動」を想起した

©時事通信社

 まずその前にジャニーズ事務所の対応について書いてみたい。動画と文書を公表した翌日は新聞休刊日だった。ネットなどでは事務所側は新聞休刊日を狙ってダメージを押さえようとしたのでは? という見立てもあった。

 しかし本当にそうだとしたら感覚が古くないだろうか。SNSでは休刊日など関係ないし新聞もデジタル版で最新ニュースが刻々と配信される。事務所側はネットの影響力を想像できていない感じがする。これはあの騒動のときと同じだ。

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 あの騒動とは2016年1月18日の「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)での謝罪生放送のことだ。当時、SMAP解散騒動があって事務所側は沈静化を考えたのか、生放送でメンバーに言葉を述べさせた。

 あるメンバーは「今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、今、僕らはここに立ててます。5人でここに集まれたことを安心しています」と述べた。この模様は木村拓哉以外のメンバーへの「公開処刑」とさえ言われ、SNSでは批判が噴出。

SMAPのメンバー ©文藝春秋

ジャニーズの感覚の古さ

 私が驚いたのは事務所側はあの生放送で一件落着と考えたのか……ということだった。確かに翌日のスポーツ紙はそんなムードだったが、コントロールできないメディアがある現実を事務所側はわかっていないのだろうかと不思議だった。あのときの一般の声の広がりは「アラブの春」(中東での民主化運動)を思い出させたほどだ。事務所側はあの経験を忘れたのだろうか。

 なので、今回新聞休刊日を狙ったなら相変わらずメディアに対する感覚が古いと感じたのである。もし休刊日は関係ないとしても会見をおこなわずに一方的に動画と書面だけを公開したらネットで呆れられるという予想はできなかったのだろうか。