将来有望…だけど新興SNSならではの懸念も?
以上のように、現在はまだベータ版でありながら、シンプルだったかつてのTwitterをほぼ再現できており、不安定さもほぼありません(本稿執筆直前には、特定の画面を開くと元の画面に戻れないバグもありましたが、すでに解消されています)。Twitterの有望な移行先として評判になるのも納得というのが、実際に使った上での感想です。
なかでも特筆すべきは、フィードに広告が一切表示されないことです。フォロー外のおすすめ投稿を表示する「What's hot」も、別タブに分離されていて、いきなりフィードに割り込まれる不快さはありません。近年のTwitterの使いづらさを感じていたユーザからすると「これだよ! これこそ求めていたものだよ!」となる可能性は高いはずです。
現時点ではまだユーザ数も少なく、Twitter並の規模のSNSを回せる体力は運営側にはまだないでしょうが、MastodonやNostrなど、現在いくつかあるTwitterライクな新興SNSの中でも、そのポテンシャルは高く、将来的にTwitterを脅かす存在になっても不思議ではありません。また万一Twitterがサービスを終了した場合の受け皿にも、十分なりうると感じます。
ただし一方で、Twitterの受け皿になりうると言っても、ややカオスめいた現在のTwitterの空気感がそのままBlueskyに持ち込まれることについて、拒否反応を示す人は少なくないでしょう。とくにすでにBlueskyに参加し、初期Twitterのような雰囲気に居心地の良さを感じている人であればなおさらです。
特にこのBlueskyは、ユーザの要望や苦情を個別に聞く強力なサポート窓口があるわけではなく、今後それらにリソースをとられてサポート部門が肥大化していけば、現在のTwitterと同じくコストが上昇し、何らかの収益化の方向性を模索するようになる可能性は否定できません。これはTwitterとは異なる分散型SNSであっても同じことです。
これに関連して、すでに一部では気になる兆候も見られるようになりつつあります。例えば冒頭で紹介した招待コードは、その入手困難さと相まってプレミア化しており、最近はオークションサイトやフリマサイトで転売されている例が、国内外ともに見受けられるほどです。
SNSはこれまで四半世紀にわたり、ユーザを増やしすぎたことで既存ユーザが雰囲気の変化に嫌気が差し、ほかのSNSに移行するというパターンを繰り返してきており、SNSとしての肥大化が必ずしもユーザにとってプラスというわけではありません。
招待コードによるユーザ増加率のコントロールはその一つの解と言えますが、数を絞りすぎるとこのように転売の憂き目に遭ったりといった事態も起こります。異常人気となりつつある昨今、さらなる問題が起こる可能性もあり、今後の運営側の舵取りが注目されるところです。