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「息子と歩いていると誘拐に間違われることも…」アフリカ最貧国で国際結婚した元警察官(39)が明かす、マラウイでの子育て事情

マラウイで国際結婚した元警察官インタビュー#1

2023/06/03
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 困っている人を放っておかないという点はマラウイの素晴らしいカルチャーですが、ジェニーと唯一、衝突するのもこの点なんです。

お金がない家はみんなが協力して助けるのがマウライの文化

――具体的にはどういうことですか?

コガ 僕たちはマラウイで一軒家を建てたのですが、ジェニーのお姉さんの旦那さんがコロナで亡くなって大変ということで、僕たちが新居に暮らす前に、その家をお姉さんに明け渡したんです。

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――夢の新築一軒家に、自分たちでなく他の人が先に暮らす……家族でもかなり複雑な気持ちになります。

コガ でも、それもマラウイでは普通なことなので、感謝するとかでもないんです。お金がない家はみんなが協力して助ける。で、助けられるほうもそれが当たり前、というカルチャーなんです。家に限らず、例えば「ちょっと今月お金がないから貸してくれ」とか。まず返されることはないです。

――お金の無心を断ったこともありますか。

コガ 僕は、今月はもう無理だな、と思うと断っていましたが、妻が隠れて支援するんですね。毎週教会に行くほど敬虔なクリスチャンということもあり、困っている人は助けなさいという教えが染み付いているんです。

出会った頃のコガさんとジェニーさん 写真=本人提供

自分をひとりの人間として見て向き合ってくれる

――さまざまなカルチャーギャップはあれど、コガさんにとってはマラウイの生活がしっくりきていた?

コガ 警察官だった時、関係者がなぜそういった事件に至ったのか、その背景まで考えながら一人ひとりと向き合いたかったのですが、次々来る事件・事故に追われ、とりあえず書類だけ整えて流していればいい、という仕事の仕方をしていました。あと、内部でも昇進するためにはどの上司につけばいいかとか、利害関係ばかりを考えて生活していたこともあって、そんな自分に嫌気がさしていたんです。

 さっきはお金のことで苦言も呈しましたけど、マラウイでは本当に自分をひとりの人間として見て向き合ってくれる感じがして、そういうところはすごくいいなと思うんです。

コガさんの警察官時代(2010年) 写真=本人提供

 前に、マラウイの知人からメールで「ハーイ」ときたから「どうしたの?」と返信したら、「別に、ただ挨拶したかっただけ」で終わったことがあって(笑)。さっきまで一緒に食事していた親戚が30分後に「ハーイ」ってまたメールしてくるのも普通です。そこに裏があったり、変な意味が込められていないって、なんかすごいなって思うんです。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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