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「息子と歩いていると誘拐に間違われることも…」アフリカ最貧国で国際結婚した元警察官(39)が明かす、マラウイでの子育て事情

マラウイで国際結婚した元警察官インタビュー#1

2023/06/03
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「ジェニーの夫を一度も見かけないことに気がついた」

――その後の展開は……?

コガ 彼女への気持ちを断ち切れないまま半年ほどご近所さんとして交流を続けていたのですが、その中でジェニーの夫を一度も見かけないことに気がついて。意を決してたずねてみると、4人のうち3人は亡くなったお姉さんの子どもで、1人はシングルマザーとして生んだ彼女の子どもだったことがわかったんです。

 それを聞いたときは嬉しすぎてガッツポーズしたかったですが、「1人で4人の子育てなんて……大変ですね」と、神妙な顔をして返した気がします(笑)。

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ジェニーさんは自分の子供と親類の子供を育てていた。写真はコガさんと出会った2015年頃 写真=本人提供

――交際にあたって、カルチャーの違いで驚いたことはありますか。

コガ 生活習慣も食も、違いはいろいろあります。たとえばマラウイでは、基本的にお風呂は夜でなく朝にシャワーだけ浴びます。でも、お互いの文化が違うのはある意味はじめからわかっていることなので、日本人同士のように「なんでわかってくれないんだ!」みたいなケンカはないんです。いい意味で、違うのが当たり前、ということを互いにわかっているからかもしれません。

――結婚にあたり、マラウイの人たちに受け入れてもらうために努力したことはありますか?

コガ できるだけ家族の集まりには顔を出すようにしました。特に今、中国のアフリカ進出がすごいことになっていて、お金も人もたくさん投下して道路建設などの公共工事をしているんですが、そうなると、中国人がボスで、現地の人たちがその下で働く、という構図になるんですね。だから、ジェニーの親戚には、「僕はアジア人ではあるけどそういう立場ではなく、あなたたちと対等な関係だ」ということも説明しました。

「君たちはどういう関係なんだ?」誘拐と間違えられることも

――マラウイで国際結婚は珍しいのでしょうか。

コガ 国際結婚してマラウイに住むパターンは珍しいので驚かれますね。先ほど話したとおり、「アジア人=中国人=自分たちのボス」という印象が強いので、現地女性と結婚してそこに移住した、と話すと本当にびっくりされます。

 それと、ジェニーと一緒に暮らしていた4人の子供のうち、亡姉の3人の子供は後に亡姉の夫が引き取ることになったので、ジェニーの実子であるリオンと3人で暮らしていたのですが、リオンと一緒に歩いていると、だいたいマラウイの人に呼び止められましたね。

家族写真 写真=本人提供

――それは、コガさんがあやしく思われるからですか?

コガ アジア人の男性とマラウイ人の子どもという組み合わせはまず見ないので、誘拐だと思うみたいです。マラウイの文化として、子どもは地域全体で育てるという意識があるので、子どもを守るという意味で、「君たちはどういう関係なんだ?」と大人が必ず聞いてきますね。

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