〈あらすじ〉
東京郊外の庭付き戸建て住宅に、須藤依子(筒井真理子)は一人で暮らしている。夫の修(光石研)は11年前に突然失踪し、息子の拓哉(磯村勇斗)は大学進学を機に家を出て、九州で就職した。毎朝、庭にしつらえた枯山水に波紋を描き、新興宗教「緑命会」の教えに従って日々祈りを捧げていた。
彼女の穏やかな生活は、修の突然の帰宅で終焉する。修は自身ががんであることを打ち明け、高額な治療費を援助してほしいと依子にすがる。そんな折、帰省した拓哉が連れてきた恋人は、聴覚に障害を抱えていた。夫への嫌悪や障害者への差別意識といった負の感情、更年期による体調不良に苦しみながら、依子は必死に祈り続けるが……。
〈解説〉
新興宗教や障害者差別など、現代社会が抱える問題に翻弄される家族を描く人間ドラマ。『川っぺりムコリッタ』に続く、荻上直子の監督・脚本作。120分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆「平凡な主婦」の内面を、これほどまで繊細に率直に描いた映画は珍しいのでは? 演者の顔ぶれも楽しい。おかしみもあり。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆「世話物」と呼びたくなるほど、細かい俗情を描いている。時事的なテーマを添加したのが惜しい。役者は素手でも戦える。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆日々の繰り返しは修行僧のよう。枯山水を描く姿も美しい。薄笑いを浮かべる不敵さにたまげつつ共感。身近にいそう。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆怪作すれすれを攻める変拍子の劇展開。波紋状を描く語りは独特で、常に想定の斜め上まで跳ねる。不意に笑いの爆発も。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆無かったことみたいにして暮らしている中で埋もれたまんまでいる人を演じる木野花に星。波紋の映像描写の効果が薄い。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『波紋』(映画「波紋」フィルムパートナーズ)
5月26日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
https://hamon-movie.com/