カーリングの2022/2023シーズンが終了した。北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレは、日本選手権連覇、グランドスラム初制覇など今季も話題の中心にいた。一方で、カーリングという競技は「五輪だけ盛り上がるもの」という認識から前に進んでいるのだろうか。
ロコ・ソラーレを創設し、現在はその妹分のチーム「ロコ・ステラ」でプレーしながら選手の育成も担う、カーリング界のキーパーソン・本橋麻里に聞いた。
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「カーリングって何?」という人がいなくなった
――軽井沢で開催されていたナブテスコ日本車いすカーリング選手権も終わり、今シーズンも幕を閉じました。
本橋 お疲れ様でした。本当に今シーズンもいろいろなことがありました。
――ロコ・ソラーレをはじめとした、“ロコファミリー”のことについては、のちほど聞かせてください。今季は、五輪のアフターシーズンでもありました。少し遡らせていただくと、本橋さんは2006年トリノ五輪の初出場から、2010年バンクーバー、銅メダルを獲得した2018年平昌と3度の五輪に出場しています。そして、出場こそしてませんが準優勝だった昨年の北京五輪。どの五輪でも「カーリングフィーバー」のような盛り上がりがあって、それを近くで体感してきた選手です。
本橋 いわゆる「4年に一度」というやつですね。ただ、挙げていただいたバンクーバーや平昌五輪の頃は、注目してくれるのはありがたい気持ちがある一方で「でもどうせ来年には忘れちゃうんでしょ」というネガティブとまではいかないんですけれど、どちらかといえば諦めのような気持ちがあったのは事実です。
冬のスポーツコンテンツとして認知されていくのが理想
――北京オリンピック前後では変化があったんですか?
本橋 私が北見に住んでいるから、というのもあるかもしれないんですけれど「カーリングって何?」っていう人がほとんどいなくなったような気がします。もちろん今も4年に一度、五輪だけ観ていただく人も多いですけれど、冬になったらカーリングにちょっとでも振り向いてもらえて、2月に日本選手権があって、勝ったチームが世界選手権に出場する。そしてそこにどのチームが出てもしっかり応援してくれる方は確実に増えた実感はあります。
――少なくともウィンタースポーツとしての認識は定着しつつあるかもしれません。