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「普通にナンパしてきた」16歳で両足を失った“車いすモデル”(25)が、歌舞伎町で“チャラ男”に気付かされた衝撃的な事実

『私はないものを数えない。』より #2

2023/06/03

genre : ライフ, 社会

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 誤解しないでほしいのは、“立派な海ちゃん”が上から目線でお説教しているわけじゃないということ。

 “クソ生意気な16歳の姫”の頃より大人になったけど、私はまだ25歳だ。

「ホストやキャバは障がい者に興味ない」と決めつけていた

 大人になったつもりだけど世間知らずなところもあり、たとえば自分のSNSのフォロワーにホストやキャバ嬢がいることに気づいたとき、正直、驚いた。夜職というだけで下に見る人もいるけど、そういう意味じゃない。

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 相当に考えて努力している人が大勢いるのを、友だちを通じて知っている。家庭の事情で進学できず、お金に苦労しながらがんばっている人もいるし、いろんな経験をしたぶん、心が豊かな人もいる。

 それなのに驚いたというのはなぜか──理由は、「ホストとかキャバとかは、障がい者に興味ないやん。別世界やん」と決めつけていたから。

 それでふと思い出したのが、社会人1年目の出来事だ。

 あの頃、歌舞伎町付近に何度か用事があり、「ちょっと怖いよね」と思いながら人があふれる一番街を通過していた。そのとき、ナンパされたのだ──ホストではなさそうだけど、いかにもチャラい感じの男の人に。

 中学生くらいから、地元で声をかけられることはよくあった。高1のデートで張り切って大人っぽい服装と濃いメイクで出かけた帰り道は、なんとキャバクラにスカウトまでされた。

文春オンラインのインタビューに応じる葦原海さん ©三宅史郎/文藝春秋

「顔が気に入った」とナンパしてくる人も

 スカウトは論外だけど、ナンパも会釈してスルー、一度もついて行ったことがない。一途にしかなれない性格だから、彼氏がいたら無理だ。彼氏募集中のときも好きじゃないとダメで、軽く遊びたくても遊べない。

 だいたい車椅子ユーザーになったとき、「人生経験として、ナンパ相手とお茶くらいしておけばよかった」とちらっと考えたのは、「これからの私の人生は、もう誰からも声をかけられない」と思ったからだ。

 ナンパは外見だけで判断するから、車椅子という時点で除外されるはずで、「うるさく声をかけられず、ラクに生きられてええやん」という感じだった。

 それでも、歌舞伎町のチャラ男は普通にナンパしてきた。

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