誤解しないでほしいのは、“立派な海ちゃん”が上から目線でお説教しているわけじゃないということ。
“クソ生意気な16歳の姫”の頃より大人になったけど、私はまだ25歳だ。
「ホストやキャバは障がい者に興味ない」と決めつけていた
大人になったつもりだけど世間知らずなところもあり、たとえば自分のSNSのフォロワーにホストやキャバ嬢がいることに気づいたとき、正直、驚いた。夜職というだけで下に見る人もいるけど、そういう意味じゃない。
相当に考えて努力している人が大勢いるのを、友だちを通じて知っている。家庭の事情で進学できず、お金に苦労しながらがんばっている人もいるし、いろんな経験をしたぶん、心が豊かな人もいる。
それなのに驚いたというのはなぜか──理由は、「ホストとかキャバとかは、障がい者に興味ないやん。別世界やん」と決めつけていたから。
それでふと思い出したのが、社会人1年目の出来事だ。
あの頃、歌舞伎町付近に何度か用事があり、「ちょっと怖いよね」と思いながら人があふれる一番街を通過していた。そのとき、ナンパされたのだ──ホストではなさそうだけど、いかにもチャラい感じの男の人に。
中学生くらいから、地元で声をかけられることはよくあった。高1のデートで張り切って大人っぽい服装と濃いメイクで出かけた帰り道は、なんとキャバクラにスカウトまでされた。
「顔が気に入った」とナンパしてくる人も
スカウトは論外だけど、ナンパも会釈してスルー、一度もついて行ったことがない。一途にしかなれない性格だから、彼氏がいたら無理だ。彼氏募集中のときも好きじゃないとダメで、軽く遊びたくても遊べない。
だいたい車椅子ユーザーになったとき、「人生経験として、ナンパ相手とお茶くらいしておけばよかった」とちらっと考えたのは、「これからの私の人生は、もう誰からも声をかけられない」と思ったからだ。
ナンパは外見だけで判断するから、車椅子という時点で除外されるはずで、「うるさく声をかけられず、ラクに生きられてええやん」という感じだった。
それでも、歌舞伎町のチャラ男は普通にナンパしてきた。